配置転換後の唐川
ロッテの唐川侑己は、日本ハム戦とソフトバンク戦で“失点しない男”である。
唐川は昨季、楽天戦(5試合・5回)、ソフトバンク戦(7試合・6回1/3)、日本ハム戦(4試合・4回)で1度も失点しなかった。特に日本ハムの本拠地・札幌ドーム(3試合・3回)、楽天の本拠地・楽天生命パーク(3試合・3回)では失点どころか、1本も安打を許さなかった。
リリーフに配置転換となった2018年後半以降は「1イニングだけなので、自分の自信のあるボールを投げている感じです」とカットボールを軸に、ストレート、カーブ、スプリットを中心に投げ、2020年の春季キャンプでストレートとカットボールの両方を投げていくことを明言した同年は、ストレートの割合も増えた。
同年8月14日の日本ハム戦では、横尾俊建に対しカットボール、カーブで追い込み、「横尾選手はカットボールを意識していたと思うので、結果的に見逃ししたのかなと思います」と、見逃し三振に仕留めた144キロの外角のストレートは素晴らしいボールだった。
この年の春季キャンプのブルペンでチェンジアップも投げ込み、シーズンに入ってからも左打者に対してスプリットではなく、チェンジアップを多めに投げていた。コロナ禍により本人に直接確認できていないが、現在はほとんどスプリットを投げていないように見える。リリーフに転向後、カットボールが代名詞になっている唐川だが、1年、1年、進化しているのだ。
日ハム、鷹を得意
話が少し脱線してしまったが、日本ハム戦とソフトバンク戦の無失点記録に戻すと、日本ハム戦は19年8月14日の試合で2失点したのを最後に、2020年以降は10試合・10イニングを投げて無失点に抑え込む。札幌ドームでは相性がよく、リリーフに配置転換したばかりの2018年8月15日の試合で失点したのを最後に、同年10月10日の試合から9試合連続で無失点中だ。冒頭でも述べたように札幌ドームでは昨季3試合・3イニング投げて無安打と、相性の良い球場といえそうだ。
ソフトバンク戦も20年から14試合・12回1/3を無失点に抑える。19年の対戦成績は7試合・7回を投げて防御率1.29だったが、18年も4試合1ホールド、防御率0.00と配置転換後、ソフトバンク戦を得意にしている。
敵地・PayPayドームも札幌ドームと同じように19年から9試合・8回1/3を投げ、無失点中だ。
ここ2年、20年が西武戦、日本ハム戦、ソフトバンク戦、21年が楽天戦、日本ハム戦、ソフトバンク戦の防御率が0.00と、特定の球団に好相性ぶりを発揮している。今季も “失点しない男・唐川侑己”が 日本ハム戦、ソフトバンク戦で無失点記録が継続されるか注目だ。
ソフトバンク、楽天、日本ハム戦の成績
▼ ソフトバンク
【2018年】
4試 0勝0敗1H 4 2/3 振2 防御率0.00(※失点1)
ヤフオクドーム:1試 0勝0敗0H 0 2/3 振0 防0.00(※失点1)
【2019年】
ヤフオクドーム:3試 0勝0敗2H 3回 振1 防0.00
【2020年】
7試 0勝0敗5H 6回 振5 防0.00
PayPayドーム: 2試 0勝0敗2H 2回 振1 防0.00
【2021年】
7試 0勝0敗6H 6 1/3 振3 防0.00
PayPayドーム:4試 0勝0敗3H 3 1/3 振0 防0.00
▼ 楽天
【2021年】
5試 2勝0敗2H 5回 振4 防0.00
楽天生命パーク:3試 1勝0敗2H 3回 振3 防0.00
▼ 日本ハム
【2019年】
札幌ドーム:3試 0勝0敗0H 3回 振3 防0.00
【2020年】
6試 0勝0敗4H 6回 振5 防0.00
札幌ドーム:1試 0勝0敗1H 1回 振0 防0.00
【2021年】
4試 1勝0敗0H 4回 振6 防0.00
札幌ドーム:3試 0勝0敗0H 3回 振4 防0.00
文=岩下雄太