昨季のOPSは1.006、五輪では米国代表として大活躍
DeNAは14日に来日したネフタリ・ソト内野手(32)、エドウィン・エスコバー投手(29)、フェルナンド・ロメロ投手(27)に続き、15日にはタイラー・オースティン外野手(30)が来日したと発表した。4選手とも出国前と日本到着時にPCR検査を受け、いずれも陰性であると確認。今後は隔離期間を経てチームに合流する予定だという。
オースティンは来日2年目だった昨季、新型コロナウイルス感染拡大の影響で来日が遅れたものの、107試合に出場し打率.303、28本塁打、74打点の好成績をマーク。中断期間に行われた東京五輪では米国代表の中心選手として銀メダル獲得に貢献し、打率.417、2本塁打、7打点の活躍で指名打者部門でベストナインに選出された。
コロナによる調整遅れもあり、2021年シーズンは中盤まで首位打者争いに絡みながら規定打席にはあと4打席届かず。それでも上述の好成績を残し、OPSは驚異の1.006(出塁率.405+長打率.601)を記録。OPS“1超え”は昨季400打席以上を消化した選手では両リーグを見渡してもオースティンと1.072で全体1位だった鈴木誠也(広島)の2人しかおらず、得点能力の高さはNPB屈指だった。
昨季セ・リーグの本塁打王に輝いた岡本和真(巨人)と村上宗隆(ヤクルト)は、ともに全143試合に出場し39本塁打。107試合で28本塁打を放ったオースティンが全試合に出場したと仮定すれば本塁打王に匹敵する37本塁打ペースだった。そもそも、故障により65試合の出場にとどまった来日1年目も20本塁打、56打点を挙げ、こちらは143試合換算なら44本塁打、123打点ペース。NPBへのアジャストに苦しむ外国人選手が多い中、背番号23は来日当初からチームに欠かせない戦力として機能していた。
新たに最大4年の大型契約、懸念は持ち前の全力プレー!?
昨年12月には3年総額8億5000万円の大型契約でDeNA残留が決定(金額は推定)。4年目のオプションは球団が保有するという。今オフはチームメイトで、しかも同じ外野手である細川成也の要望を受け米国でともにトレーニング。球団は突出した打撃力に加え、惜しみなくアドバイスを与えるリーダーシップも高く評価している。
懸念点を挙げるとすれば、真骨頂でもあるハッスルプレーからくる故障離脱だろう。ダイビングキャッチなど果敢な右翼守備でもファンを魅了する一方、来日1年目にはフェンスに激突し「脳振とう」と「むちうち」で登録抹消に追い込まれたこともあった。
昨季もフェンスに激しくぶつかるプレーが度々あり、10月には左ふくらはぎの肉離れで登録抹消。三浦大輔監督は「体の張りや疲労は、常に全力プレーの選手だからあったと思う」と話していただけに、優良助っ人の得点能力を最大限に発揮させるためにも首脳陣の舵取りがより重要になってくる。
過去2年はコロナの影響もあり調整が難しいシーズンだったが、今季は春季キャンプ初日の2月1日にはチームに合流できる見通し。健康でシーズンを完走することができれば、プロ野球史8人目、令和初の3冠王も夢ではないだろう。