主力野手の活躍が必須
昨季はシーズン最終盤までオリックスとリーグ優勝争いをするも、あと一歩のところで優勝を逃したロッテは、今季こそ1974年以来となる勝率1位でのリーグ制覇を成し遂げたいところ。
安田尚憲、藤原恭大、山口航輝、佐々木朗希といった投打に期待の若手が増えているなかで、ロッテが優勝するためには計算の立つ中堅、ベテランの主力が今季も昨季と変わらぬ働きを見せる必要がある。
野手では昨季最多安打&盗塁王に輝き全143試合で1番に座った荻野貴司、攻守にチームに欠かせないキャプテン・中村奨吾、チームトップの本塁打と打点をマークしたレアード、打率こそ.233だったが勝負所での一打、相手の隙をついた走塁で何度も一つ先の塁を奪ったマーティンが、今季も攻走守での働きが重要になってくる。
もちろん、安田、藤原、山口が打線を引っ張る活躍を見せてくれるのが理想的ではあるが、不確定要素が多く、荻野、中村、レアード、マーティンの4人が昨季と同等の成績を残したうえで、昨季は新人の18年以来3年ぶりに規定打席に到達した藤岡裕大のさらなる成長、新しい戦力が出てくるというのが現実的だろう。
30代の意地に期待
期待の若手が増えてきたなかで、福田秀平、井上晴哉といった“30代”の選手たちの意地にも期待したい。福田はFAで入団した1年目の20年、オープン戦初戦となった2月29日の楽天戦でいきなり先頭打者本塁打を放つなど、打率.375をマーク。しかし、開幕前の6月に死球を受けるなど、62試合に出場して打率.216、昨季は一軍4試合の出場にとどまった。ロッテに移籍してから持っている高い能力を発揮しきれていないというのが現状ではあるが、今季こそグラウンドで躍動する姿を1試合でも多く見せたいところだ。
井上は18年から2年連続で24本塁打を放ったが、昨季は山口の台頭、自身の故障や不振もあり、23試合に出場して打率.196、1本塁打、6打点という成績に終わった。これまで三塁を守っていたレアードが一塁や指名打者での出場が増え、そこに外野も兼任する山口もいる。競争という意味では、これまでも外国人選手と一塁のポジションを争ってきた。
昨年10月29日に『右手関節三角繊維軟骨損傷に対しての関節鏡下にて縫合術』を受け、実戦復帰までは5カ月程度かかる見込みと発表されており、開幕に間に合うかは微妙だ。シーズンをどう幕を開けるかも大事だが、シーズンを終えたときにどういうポジションで終えているかが重要だろう。期待の若手が増え、これまでのようにチャンスが多く回ってくるかはわからないが、与えられた機会でコツコツと結果を残し、もう一度一軍で居場所を掴みとっていく姿を見せて欲しい。
守護神・益田の存在
投手陣はリーグ優勝するために、守護神・益田直也が今季も1年間機能するということが大前提だ。
特に2年連続で2位に入ることができているのは、益田が守護神として1年間、その役割を全うしていることが大きい。昨季は前半戦、益田の前を投げる勝ち試合の7回、8回がなかなか固定できなかったなか、なんとか9回の益田まで繋ぎ勝利を積み重ねていた。
野球界で“たられば”は禁物だが、仮に開幕直後に抑え失敗が目立った益田の状態も上がらず、中継ぎ、抑えが総崩れという状況になっていれば、打線がリーグトップの得点数を誇っていたとはいえ、2年連続2位に入っていなかっただろう。それだけ益田の存在はチームにおいては欠かせない。
勝ち試合の9回というとてつもないプレッシャーのなかで、この2年大きな離脱することなく、一軍でプレーし続けているパ・リーグのクローザーは益田のみ。今季も勝ち試合の9回に登板し、セーブを積み重ねていくことで、リーグ優勝も近づいてくる。
先発陣は、昨季小島和哉がチームトップの10勝、チーム唯一規定投球回に達し、佐々木朗希が後半戦防御率1.22と若手の2人が引っ張ったが、実績のある石川、美馬にも若手の壁になって欲しいところ。野手に比べて投手陣は順調に世代交代が進んでいるが、ベテランの存在は貴重。石川と美馬は少ない球数で打者を打ち取ることができ、2人が登板するときには、1イニングでも長く投げ、リリーフ陣を少しでも休ませたい。
今季のリーグ制覇、その先の“常勝軍団”となるためには若手が成長したうえで、現状では計算の立つ中堅、ベテランがしっかり機能することもカギとなる。
文=岩下雄太