投手四冠に沢村賞でも「悔しさはすごく大きい」
オリックスの山本由伸投手(23)が11日、今キャンプはじめてのブルペン入り。
力強いストレートを中心にカットやフォークといった変化球も織り交ぜながら、若月健矢のミットに33球を投げ込んだ。
この日の最速は、「調子が悪かった機械」が弾き出した149キロ。
投球を終えたエースは、「コンディション良く来れている。しっかり練習も出来ていますし、良い時間を過ごせていると思います」と充実ぶりを口にする。
つづけて、「しっかり試合にあわせてやっているという感じ。徐々に試合レベルまで持って行けるように、じっくり練習したい」と、この先を見据えた。
今キャンプ初となったブルペンでの練習に関しては、「多少サブグラウンドで練習している時より力みが出てしまいました」と振り返りつつ、「腕も思いっきり振れていますし、すごく動ける状態ではある。技術的な部分、たとえばコントロールだったり、変化球とかはしっかりと練習していないので、これから変化球も練習していきながら、技術が良い感じに整ってくるといけると思います」と前向きなコメント。「1回目のブルペンにしてはとても良かった」という高評価で感想をまとめた。
心配されるのは、フル回転で奮闘した昨季の疲労。その部分については、「今まででいちばん球数も多かったと思いますし、試合数もオリンピックだったり、クライマックスだったりを入れるとかなり投げているので、コンディション面をすごく丁寧に見ていく必要があると思います」と慎重な構え。
そのうえで、「ローテーションを争っているとしたら、2月1日からバシバシ行きたいですけど、監督からも『去年最後まで長く行ったから急ぐ必要もない』というか、『コンディションを見ながら…』みたいな話もしていただいた」と明かし、「良い感じで来ていると思います」と、あえてのスロー調整で“本番”に照準を合わせていく姿勢も示している。
昨季は最多勝をはじめとする投手四冠に加え、沢村賞やリーグMVPにも輝く大活躍。
しかし、「去年は最後にすごい悔しい思いをしたので、それをプラスに変えられるようなシーズンにしたい。悔しい思いは大きく残る。特に最後負けたというのもあるので、悔しさはすごく大きい」と、日本シリーズの敗戦の悔しさが上回っているという。
「とにかく良いコンディションで開幕を迎えて、1年間良い調子で最後まで行けるように頑張りたい」と目標を掲げ、「去年は開幕戦で負けてしまったので、その悔しさも忘れていない。リベンジしたい」と、闘志をメラメラと燃やしている。
掴み取った栄光よりも、悔しさをバネにして…。3月25日(金)の開幕戦は、昨年と場所も相手も同じ西武との戦い。
リベンジに燃える背番号18が、悔しさを晴らすための第一歩を踏み出した。
取材・文=どら増田