清水さんがみた先発陣
現役時代5年連続2桁勝利を挙げ、2005年のリーグ優勝・日本一に“エース”として貢献し、現役引退後は2年間投手コーチを務めたロッテOBの清水直行さんに“7つのテーマ”でロッテ投手陣について語ってもらう第2回は、“先発投手”だ。
ロッテの昨季先発陣を振り返ると、小島和哉がチームで唯一、二桁勝利(10勝)と規定投球回数(146回)をクリア。岩下大輝が8勝、石川歩と美馬学が6勝、二木康太が5勝、河村説人が4勝、佐々木朗希が3勝となっている。100イニング投げた投手は規定投球回を達成した小島、岩下(120回)、二木(117回)、美馬(115回1/3)の4人だった。
リーグ優勝を目指す上で大事になってくる“チームの勝ち頭”、“絶対的なエース”と呼べる存在がいない。
その原因について「ちょうど若返りの時期だと思うんですよ」と話す。
「石川、美馬といったベテランの力を借りなきゃいけないんですけど、若いピッチャーがどんどん出てきて、若いなという印象がある。そういった部分で若いピッチャーが独り立ちするために、スポット的に投げているところが、勝ち星が散っているところもあると思います」。
昨季ルーキーだった河村は、前半は中継ぎを務めており、佐々木朗希も後半戦に入ってから先発ローテーションに定着。本前は一、二軍を行き来し、鈴木は先発とリリーフの両方を担当していた。
「もっといえば、昨年、一昨年というのはコロナの影響もあって先発のイニングが短くなっているというのもあるんですね。というのも、試合が9回で終わるので、早く(先発が)マウンドを降りていたため、ブルペンに勝ち星が散っているところもある。一概に先発の独り立ちが少ないというのは違うのかなと見ています」。確かに昨季はセットアッパーの佐々木千隼がチーム2位タイの8勝をマークしている。
ただ、リーグ優勝するためには、1年間先発の軸として投げる投手が出てきて欲しいというのが本音だ。清水さんは「佐々木朗希はやってもらわないといけない」と佐々木朗希とともに、小島和哉、エンニー・ロメロの名前を挙げた。
「僕の中では小島が昨年二桁勝利したので、二桁を期待されながら、二桁できるかというところが勝負だと思うんですよ。昨年はどれだけやれるのかというところで、1試合必死にやってきたところで勝ち星が積み上がった。今年は“二桁頼むよ”という状態から、“本当に二桁勝負できる投手になっていけるの”、“規定投球をしっかり投げていけるピッチャーになっていけるの”というのが問われている。小島に関しては軸になってもらわないといけない」。
「ロメロは、どれくらいのペースで投げていけるのかというのと、長いイニングを投げられるのかどうか。数試合だけでなくて、年間ローテーションを守れるのか、外国人選手なのでやってもらわないといけないと思っています」。
先発候補が多い
“絶対的なエース”はいないが、小島、佐々木朗希、石川、美馬、岩下、エンニー・ロメロ、河村、二木、本前郁也、森遼大朗など先発候補が増え、先発投手の競争レベルは年々上がっている。
清水さんは「石川、美馬、河村、二木、岩下ももちろんそうだし、本前も状態があがってくれば先発ローテに入っていかないといけない」と名前を次々に挙げた。
そして、ストレートとフォークを武器にするドラフト5位の八木彬はリリーフ候補の一人だが、清水さんは「オープン戦を数試合見てからですね」と話した上で、投球リズムを含め「リリーフではないなと僕は見ている」と先発で投げさせても面白い存在と話す。
競争力が高まってきたなかで、今季は20年にトミー・ジョン手術をした西野勇士、種市篤暉の復帰が予想される。清水さんは「種市はもう少し時間がかかると思う」と話しながらも、復帰後は「安心して見ていられる投球」を期待している。
「一、二軍あわせて20人くらい先発ができる。ブルペンより先発の方が多いなかで、左の鈴木をどう起用していくのか。小島とロメロが出てきたので、右4枚作れればと思っている」と、力強いストレートを持つ鈴木昭汰をリリーフで起用しても良いのではないかと見ている。
“先発候補”が増えてきた中で、“先発候補”脱却し、“先発ローテーション定着”するにはどうアピールしていけばいいのかーー。また、“先発候補から抜け出せず伸びやむ投手”と“先発ローテーションに定着”していく投手との違いはどこにあるのだろうか。二木康太もそのひとりに当てはまる。第3回は『二木康太』について語ってもらう。
取材・文=岩下雄太