3位だった2020年は自己最多の13発&61打点
昨季は12球団1位のチーム防御率3.22を記録しながら、借金16でセ・リーグ5位に沈んだ中日。立浪和義新監督の下、春季キャンプは得点力アップが最大のテーマとなっている。
16日に行われた日本ハムとの練習試合(北谷)では、4本塁打が飛び出すなど7-4で立浪体制初の対外試合に勝利。3番に抜擢されたドラフト2位の鵜飼航丞が左翼後方の防球ネットに突き刺す特大2ランを放てば、開幕一軍を目指す山下斐紹、溝脇隼人にも一発が飛び出し、新庄ビッグボス率いる日本ハムを突き放した。
この試合で“対外試合チーム1号”を放ったのが「6番・二塁」で先発出場した阿部寿樹。1点を追う2回、日本ハム先発・西村天裕の変化球を捉えた打球は、綺麗な放物線を描き左中間席に着弾した。
阿部は昨季、打撃不振により6月下旬に二軍落ち。8月以降は上半身のコンディション不良に苦しみ、66試合の出場で打率.209、5本塁打、16打点、OPS.597の成績に終わった。2020年はキャリアハイの13本塁打&61打点を記録するなどチームのAクラス入り(3位)に貢献。シーズン終盤は中軸を担うなど貴重な得点源として活躍した。
出番増へ貪欲、今キャンプは外野守備にも挑戦中
上述のコンディション不良をきっかけに昨オフから打撃フォームを変更。バットをやや寝かせ気味に構え、テークバックを必要最小限にとどめる新フォームで今キャンプでの実戦では鋭い打球が目立っている。
20日の阪神戦(宜野座)は3打数無安打で途中交代したものの、第2打席では痛烈な中直を放ち、第3打席も捉えた当たりの左飛。打撃内容は良かった。2打数1安打だった19日のDeNA戦(北谷)では、二塁の守備でも観客を魅了。DeNA・神里が放った痛烈なゴロをダイビングキャッチで処理し、大きな拍手を浴びた。
今キャンプでは外野守備にも挑戦しているが、不動の二塁レギュラーとして君臨した2019年や2020年のようなパフォーマンスを取り戻すことができれば、それだけでチームの得点力アップが見込める。
今後、同じく昨シーズン打撃不振に苦しんだ高橋周平が対外試合に加わってくれば、期待の若手大砲・石川昂弥を二塁起用することが予想される。阿部が外野に回った際の主戦場となる左翼には、ルーキーの鵜飼や巻き返しに燃える平田良介以外にも、捕手登録のアリエル・マルティネスや山下など、打力優先でレギュラー争いに参戦しているライバルは多い。
いずれにせよ、ハイレベルなチーム内競争が得点力アップにつながることは明白。これから本格化する実戦の中で、ベストな陣容を固めていく。