26日の西武戦で圧巻の投球
かなり気は早いが、シーズン通して昨季後半、練習試合のような投球を見せたときに、ロッテの佐々木朗希はいったいシーズンで何個三振を奪うのか楽しみだ。
前回登板の2月26日の西武戦では、初回先頭の外崎修汰を143キロのフォークで空振り三振に仕留めると、森友哉、呉念庭と三者連続三振。2回に先頭の山川穂高に中飛で初回からの連続奪三振はストップするも、続く柘植世那を158キロのストレートで3球三振、鈴木将平をスライダーで空振り三振。3回も先頭の愛斗をストレートで見逃し三振、渡部健人を空振り三振で、4者連続三振。最後は山村崇嘉を二ゴロで、3回を投げ9つのアウトのうち7つを三振で打ち取るなど、圧巻のパフォーマンスだった。
佐々木朗希はここまで実戦2試合・5イニングを投げ、イニングを上回る8奪三振を記録している。
昨季はマリンでチームトップの奪三振
ロッテの先発陣は三振を取れる投手が少なく、昨季はパ・リーグ の6球団で唯一100奪三振以上をマークした投手がいなかった。三振数を奪う競技ではないが、絶対に点を許したくない勝負所で三振を取れるというのは魅力的だ。
佐々木朗希は昨季11試合・63回1/3を投げて、68奪三振を記録。特に9月以降は9月10日の楽天戦で8回・9奪三振、10月7日の楽天戦で7回・8奪三振、10月14日のオリックス戦で6回・8奪三振、10月23日の日本ハム戦では6回を投げ、自身初となる2桁11奪三振と、9月10日の楽天戦以降の4試合・27イニングで36個の三振を奪った。
昨季の奪三振数は68個だったが、本拠地・ZOZOマリンでの奪三振数はチームトップの50個(8試合・47回1/3)を記録し、10月14日のオリックス戦の2回から11イニング連続奪三振を継続させて、シーズンを終えた(CSは含まない)。
最多奪三振のタイトルを獲得した投手は?
奪三振能力が高く、1年通して投げた経験がないとはいえ、昨季後半の投球をシーズン通して見せることができれば、山本由伸(オリックス)、千賀滉大(ソフトバンク)、則本昂大(楽天)とともに最多奪三振の最有力候補だろう。
パ・リーグでタイトル制定された1989年以降を見ると、ロッテでは伊良部秀輝氏が94年(239奪三振)と95年(239奪三振)にタイトルを獲得したのを最後に誰もいない。奪三振ランキングを見ても、リーグ3位以内に入った投手も、2010年にリーグ3位の192奪三振をマークした成瀬善久氏のみだ。
直近5年では種市篤暉が19年に規定投球回に届かなかったものの、リーグ4位の135奪三振を記録した。20年はシーズン途中に右肘を手術した影響で離脱したが、同年7月11日の西武戦後には奪三振数でリーグトップに立った。復帰後は佐々木朗希と2人で、パ・リーグの打者からバッタバッタと三振を奪う姿も数多く見られそうだ。
話を佐々木朗希に戻すと、今季チームに数多くの勝ち星をもたらし、最多奪三振のタイトルを獲得するような働きを見せれば、長年不在だった先発の軸、チームのリーグ優勝も見えてくるだろう。
文=岩下雄太