ロッテ 山口航輝

◆ 松川、池田はレギュラー争いを盛り上げられるか?

 ロッテは2月27日まで行われた練習試合で、投打ともに多くの若手選手が躍動した。ここまでは各球団もロッテと同じように、開幕一軍入りを狙う若手選手が多く出場していたが、ここからは主力選手たちも開幕に向けて多く登場し、対戦相手のレベルが段々あがってくる。そのなかで投手は抑え、野手は打つことで、その先の開幕一軍が見えてくる。若手選手にとっては非常に重要な3週間となりそうだ。

 新人のドラフト1位・松川虎生(市立和歌山高)、同2位・池田来翔(国士舘大)の2人は、主力投手と対戦したときにどういう対応を見せるか見ものだ。松川は2月の練習試合に7試合に出場して、打率.389(18-7)、1打点、2月20日のヤクルト戦、22日のオリックス戦ではマルチ安打と、とても高卒新人とは思えない打撃を見せている。

 守っても捕手と覚えることも多く大変なポジションではあるが、初マスクを被った2月15日の楽天戦の6回から2月20日のヤクルト戦の3回にかけて、自身がマスクを被った場面で投手陣を17イニング無失点に抑える好リード。開幕ローテ入りを狙う本前郁也は「すごく投げやすい」と信頼する。

 二塁と三塁を守る池田も、2月17日の巨人戦から20日のヤクルト戦にかけて3試合連続複数安打、22日のオリックス戦では先頭打者本塁打を放つなど、2月の練習試合は9試合に出場して打率.323(34-11)、1本塁打、6打点。

 エチェバリア、藤岡裕大、安田尚憲と三遊間の競争は熾烈になることが予想される。池田に限らず、エチェバリア、藤岡、安田と打った選手がスタメンを勝ち取ることになりそうだ。

 話がやや脱線してしまったが、新人の2人がオープン戦でも練習試合と変わらぬプレーを披露することができれば、捕手、内野の競争レベルがより高くなる。

◆ 外野の競争も熱い

 続いて外野手に注目すると、2年連続二軍で打率3割以上をマークした髙部瑛斗が2月の練習試合、9試合に出場して、打率.387(31-12)、0本塁打、4打点、8盗塁の大暴れ。走塁面では二塁盗塁だけでなく、三塁への盗塁も積極的に仕掛ける。打撃、走塁ともに、主力級の投手と対戦したときに、練習試合と同じような活躍を見せれば、開幕スタメンも見えてくる。

 昨季7・8月度の月間MVPに輝いた藤原恭大も、レギュラーの座を虎視眈眈と狙っている。2月の練習試合は5試合に出場して、打率.250(16-4)、0本塁打、2打点、1盗塁。出場した5試合全てで出塁し、安打がなかった2月27日の西武戦では押し出し四球を選んだ。オフは体幹トレーニングなど1年間戦うための体のトレーニングに重点を置いた。打撃面での課題も理解しており、そこを徹底的に反復。今季にかける思いは人一倍強い。

 一塁と外野を兼任する山口航輝は、2月の練習試合外野でスタメン出場した試合に限ると、打率.455(11-5)、1本塁打、6打点。山口は一塁もできるが、一塁にはレアードがいる。21歳と年齢的には若いが、他の選手との兼ね合いで、シーズン中に指名打者での出場というのも十分にありえそうだ。とにかくオープン戦でも武器である長打力をアピールしていきたい。

◆ 熾烈な先発争い

 投手陣では先発ローテーション争いのなかで、5、6枚目に誰が入ってくるか気になるところ。

 候補の一人である本前郁也は、2月の練習試合3試合・7回2/3を投げて失点は0。オープン戦では「ストライク先行、打者にいいリズム作れるようなピッチングができれば」と意気込む。

 育成選手からオフに支配下選手登録となった森遼大朗も、2月の練習試合では最初の2月15日の楽天戦で2回2失点だったものの、20日のヤクルト戦、23日のオリックス戦ともに無失点に抑えた。

◆ 育成組もアピール

 育成選手から支配下選手登録を目指す2人を忘れてはならない。佐藤奨真は、ストレートのスピードはないが、カットボール、チェンジアップを駆使して、2月の練習試合は4試合・6イニングを投げて無失点。20日のヤクルト戦以外は、リリーフでの1イニングでの登板となっているが、起用法も含めて、支配下選手登録を目指しアピールを続けている。

 小沼健太は、初登板となった2月17の巨人戦で失点したが、練習試合は4試合・5回1/3を投げて1失点。20日のヤクルト戦は8-2の4回二死満塁の場面で登板し、武岡龍世を0ボール2ストライクから3球目の135キロフォークで二ゴロに打ち取った。23日のオリックス戦は2回を投げパーフェクトリリーフと、日に日にその存在感を高めている。

 投手、野手ともに若手選手がオープン戦でアピールすることで、チームの戦力アップにも繋がる。一人でも一軍で戦える選手が出てくることを期待したい。

文=岩下雄太

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