ゲレーロが来日初登板
ロッテのタイロン・ゲレーロが16日の広島とのオープン戦で、来日初登板を果たした。
ゲレーロはメジャー通算113試合に登板して2勝5敗、防御率5.77という成績で、マーリンズ時代の18年と19年には50試合以上に登板。18年には167を記録するなど、ストレートを売りにするパワーピッチャーだ。
0-2の8回からマウンドに上がると、先頭の上本崇司の初球に154キロのストレートでストライクを取ると、2球目の157キロのストレートで一ゴロに打ち取った。続く小園海斗には1ボール2ストライクからの5球目にこの日最速の159キロを計測するなど、7球目のチェンジアップで二ゴロ。最後は代打・田中広輔を1ボールから158キロのストレートで一ゴロに仕留めた。
この日は1イニング11球を投げ、そのうち9球がストレートで全て150キロを超えた。メジャー通算114試合・106回を投げ67与四球と制球面を心配されたが、この日は11球中、ボール球はわずかに2球。ストライク先行の上々のデビューだった。
0-2の9回から登板した東條大樹も素晴らしかった。これまでは右打者には武器である大きなスライダーとストレート、左打者にはチェンジアップで打ち取っていく投球スタイルだったが、この日は先頭の左の坂倉将吾を2ボール1ストライクから146キロのストレートで遊飛、続く右の磯村嘉孝を外角のスライダーで簡単に追い込み、1ボール2ストライクからの4球目に外角いっぱいの148キロストレートで見逃し三振。最後は末包昇大を左飛で、1イニングをわずか10球・三者凡退に抑えた。
躍動感があり、ストレートの威力はかなり力強かった。また、昨季は一軍で登板したときに制球で苦しむ場面もあったが、そういった心配も全くなかった。1試合でよかったと評価するのは早すぎるかもしれないが、ゲレーロ、東條は大きな戦力になってくれるように感じた。
新戦力、復活を目指す投手が躍動
新外国人のゲレーロ、19年に58試合に登板した実績のある東條、この日は登板がなかったがトミー・ジョン手術から復活を目指す西野勇士、新人の廣畑敦也、八木彬などもおり、さらに育成の小沼健太も12日の西武戦で1点リードの9回に登板し1回を無死点に抑えた。
昨季先発、リリーフの両方をこなした左の鈴木昭汰も、オープン戦では5試合全てリリーフで登板し、5回1/3を投げ被安打0、6奪三振、無失点と安定した投球を続ける。連投も問題なくこなすことができれば、勝利の方程式を任せたくなるような存在だ。
今季は19年以来3年ぶりに延長12回まで戦う方針となっており、昨季以上にリリーフ陣の質、層の厚さが鍵を握ってくる。昨季“勝利の方程式”の一角を担った佐々木千隼、唐川侑己がここまで一、二軍ともに実戦の登板がない中で、新加入の選手や昨季故障や成績不振で満足のいく結果を残せなかった投手たちがアピールを続けているのは心強い。
数字を見ても、オープン戦の序盤は先発ローテーション入りを狙う投手もリリーフ登板があったとはいえ、オープン戦の救援防御率はここまで2.15。開幕一軍入りに向けて、レベルの高い競争ができている。ここから何人か開幕一軍入りを逃したとしても、ファームに質の高い投手が控えているとなれば、長い目で見れば大きな強み。
また、守護神・益田直也の前を投げる7、8回は、先を見据えて開幕してからしばらくは固定せずに、対戦打者や登板状況に応じて、ローテーションを組み、シーズン終盤の大事な夏場以降に、固定するということもできそうだ。開幕していないのに高く評価しすぎではないかと言われてしまいそうだが、そのくらいロッテのリリーフ陣は充実している。
文=岩下雄太