仁志監督「ハードルを低くしようとは思わない」
一軍よりひと足先に開幕したイースタン・リーグ公式戦。19日に横須賀スタジアムで行われた西武とのファーム開幕戦で、DeNAの5年目右腕・阪口皓亮が先発した。
7月以来となる公式戦登板で、初回は三者凡退の立ち上がりを見せるも、2回に安打と四球に暴投も絡み先制点を献上し、さらに適時打で2失点。3回は一転、2三振を含む三者凡退と立ち直ったかに見えたが、4回には2つの四球を与えるなど掴みどころのない内容だった。
最終イニングとなった6回は先頭打者に二塁打を許し四球も与えたが、最後は144キロのストレートを外角にズバッと投げ込み見逃し三振。雄叫びを上げながらベンチへ戻った。
今季初の公式戦は、6回103球を投げ、被安打4、奪三振5、与四球4、失点2とまずまずの内容。試合は5-2で勝利し、阪口にも“今季1勝目”が記録された。
ベンチから投球を見守った仁志監督は「もっといいはずなので、良くはないと思います」と阪口の投球を評価。
「一軍のローテーションでやっていかなくてはいけないキャリア。安定を求められているので、ハードルを低くしようとは思わない。(一軍ローテーションの)5~6番手に最低限入らないと」と、一軍マウンドで躍動する姿を期待しているからこその辛口判定だった。
古傷をケアしながらスライダー解禁
阪口はファームでの開幕戦登板を「2月のキャンプで大家コーチに言われていた」と告白。「イースタンといえど開幕戦なので勝ちたかった。ちょっと崩れる場面も多かったですけどなんとか2点で抑えられた」と安堵の表情を見せた。
投球内容については、「今日はそんなに良くなかったです。バラバラだったので、まとまってなかった。全球種自信を持って投げられてなかった。ちょっと恐る恐るでした」と反省していた。
昨年9月にクリーニング手術を受けた右肘への負担を考え、今年に入ってからスライダーを投げていなかったが、「そろそろ投げないと抑えられないと思いまして。肘の不安もなく投げられてきているかなとは思います」と、この試合から解禁。「ファストボール系統の球が多いので、完全に制球できないカーブ一本じゃ不安。緩急としてスライダーは持っていたい」と、投球の幅を広げる意図も明かした。
味方の長い攻撃間には、素早い動きのキャッチボールも取り入れ、「完全に肘が温められていない、冷めたまま投げるとまた同じことの繰り返し。トレーナーさんに色んなことを聞いてます」と古傷のケアにも気を使っている。
そんななか、6回二死から見逃し三振に仕留めた渾身の1球は「わがまま言って投げた。気持ちも入りましたね」と、納得した部分もあったようだ。
「一軍目指してやってますし、ここは正直通過点でしかない。100球投げましたし、やっと再スタートしたかな」と自身の現状について話し、「なんとか食らいついていかないと、アピールすることもできない。諦め悪くとことんアピールしてやろうかな」と、上のステージを見据えた。
最後に「横浜反撃、阪口反撃です!去年後半投げてない分、溜まってるんで!」と宣言した阪口。昨季チーム初勝利を呼び込んだ右腕は「笑顔と夢と希望をみんなに与えられるように」一軍マウンドでの完全復活を目指す。
取材・文・写真=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)