一軍で活躍するための方法論
各チームが3月25日(金)のシーズン開幕に向けて最後の調整を行っている中、3月19日(土)にひと足先に開幕したイースタン・リーグ。
仁志敏久二軍監督率いるヤングベイスターズは、本拠地・横須賀で西武を相手に連勝を飾り、幸先の良いスタートを切った。
開幕戦、3回の攻撃で逆転した場面は鮮やかだった。
内野安打で益子京右が出塁すると、蝦名達夫と大橋武尊の連続適時打でまずは同点。そこから梶原昂希の進塁打と小深田大地の四球後、山下幸輝が初球をとらえて逆転に成功した。
つづく伊藤裕季也も必死に右方向へ進塁打を打とうとする姿が目につき、翌日はしっかり引きつけてライトスタンドへ放り込む本塁打。選手たちがそれぞれ意識を高く持ち、進塁打や四球などを絡めた“いやらしい攻撃”に徹しているのは、一軍の取り組みとも重なる。
ファームも同じ方向性でやっているのかと尋ねると、「一軍でそういうことを掲げているので、余計にやらなきゃいけない」と前置きしつつも、「掲げようが掲げまいが、二軍の選手がやるべきこと、バントなり進塁打なり、エンドランもそうですけど、そのへんは安定的にできなければいけない」と強調。「どっちみち一軍に行ったらそこは求められるので、それで失敗して二軍に下がることないように。そこは必要だというところは去年から変わっていないです」と、一軍に合わせているということはないと言う。
個性を磨く重要性
あくまでも一軍でしっかり活躍する選手の育成が基本線。手術明けながら6回を2失点と及第点ピッチングを見せた阪口皓亮に対しても「ちょっとしたプラスは当然と考えている。ハードルを低くしようとは思っていないです」と、あえて厳しく見るのは期待の裏返しだ。
指揮官として迎える2年目のキャンプ前、「心技体」それぞれの重要性を説いていた。なかでも“技”の部分については、「『基本と個性』をうまく融合させることをやっていきたい。『型通り』と『型破り』がありますけど、型通りにしっかりできる事と、あえて破る事ができる個性的な選手を同時に育てていきたい」との理想も掲げている。
その上で、個性豊かなルーキーたちに触れ、「自分たちの求められているモノはある程度わかっていると思うので、何をアピールすればいいのか、何を強みにすればいいのかがわかった上でやっている」と評価。足や肩など一芸に秀でる若手たちに、「そういう選手を作るということが、ファームにとっての使命というか、作業のひとつでもあります」と、長所を伸ばすために尽力する構えだ。
「選手たちには自分の強みというものをじっくりと自分で示しながら、それを主張しながらプレーができる、それを自分の武器として戦えるような選手を作りたいし、なって欲しいですね」
まずは選手自身が考え、実践することを第一に、心技体、超一流のプレーヤーを送り出す目標を掲げる仁志監督。野球エリートを歩んできた理論派は、横須賀から横浜へと羽ばたく若手を育て上げる。
取材・文=萩原孝弘