充実の野手から新星現る
昨季は最下位に沈んだDeNA。球界随一の強打線を擁しながら、ディフェンス面で大きく遅れを取った格好だ。ドラフト会議では投手中心の指名をしている。
ところが、オープン戦では充実しているはずの野手陣から新星が現れるのだから皮肉なものだ。3月18日に二軍に合流したとはいえ、ドラフト6位の梶原昂希の見せたアピールは、近未来への希望になるものだった。
梶原は身長189センチ、体重85キロの立派な体躯を誇る、右投げ左打ちの外野手。柳田悠岐(ソフトバンク)を彷彿とさせる雄大なフルスイング、ストライドの大きなベースランニング、ソフトボール投げで90メートルのフェンスに当てて測定不能になった強肩。ポテンシャル抜群の好素材なのだ。
そんな大器が、なぜドラフト6位という下位指名なのか。その原因は梶原のプレーの粗さにあった。神奈川大では誰もが驚くような打球を放ったかと思えば、無惨な三振に倒れるシーンも珍しくなかった。そんな魅力ともろさが同居した「ロマン枠」なのだ。
神奈川大の岸川雄二監督は、自身も西武でプレーしたスラッガーだった。大分雄城台高時代の梶原の素材に惚れ込み、大学進学後は梶原がどんなに三振しようと試合に使い続けた。大学3年以降はコロナ禍もあり、思い描いた通りの育成過程にはならなかったものの、梶原のスケールを損なわずにプロの世界へと送り出した。
オープン戦では途中出場の難しい起用ながらヒットを放つシーンが見られた一方で、変化球へのもろさや守備面での課題も露呈した。現状では外野の一軍レギュラー陣が固まっているだけに、首脳陣としては梶原には二軍で実戦経験を積ませる狙いがあるのだろう。
DeNAの下位指名は宮﨑敏郎(2012年6位)や佐野恵太(2016年9位)と、多少の欠点に目をつぶって獲得した選手が次々と花開いている。梶原もその流れに乗りたいところだ。
リリーフ適性を示した三浦銀二
その他の新人に目を移すと、現時点では4位指名の右投手・三浦銀二(法政大)がリリーフとして存在感を放っている。上背はないものの、高校時代からエリート街道を歩んできた投手らしいマウンドさばきが光る。先発時よりもリリーフ時のほうが出力が上がり、マウンドで圧倒できる点からもリリーフ適性が高そうだ。
育成ドラフトでの入団ながら育成1位の村川凪(徳島インディゴソックス)、育成3位の大橋武尊(茨城アストロプラネッツ)はオープン戦でチャンスを得ると盗塁に成功。持ち前の快足をアピールしていけば、機動力の乏しいチームだけに早々に戦力になる可能性もありそうだ。
横浜DeNAベイスターズ
2021年ドラフト指名選手のオープン戦成績
*1軍成績(3/21終了時点)1.小園健太・投手(市立和歌山高)
出場なし
2.徳山壮真・投手(早稲田大)
3試合 0勝0敗0セーブ 防御率3.86
3.粟飯原龍之介・内野手(東京学館高)
出場なし
4.三浦銀二・投手(法政大)
5試合 0勝1敗0セーブ 防御率6.14
5.深沢鳳介・投手(専大松戸高)
出場なし
6.梶原昂希・外野手(神奈川大)
13試合 6安打 打率.250 0本 2打点 1盗塁
◇育成
1.村川凪・外野手(徳島インディゴソックス)
1試合 0安打 打率.000 0本 0打点 0盗塁
2.東出直也・捕手(小松大谷高)
出場なし
3.大橋武尊・外野手(茨城アストロプラネッツ)
1試合 2安打 打率1.000 0本 0打点 2盗塁