12球団屈指の若手有望株の顔ぶれ
2年連続でリーグ2位につけ、いよいよ優勝が見えてきた千葉ロッテ。目先の補強に走るのではなく、好素材をじっくり育成する方針が実を結ぼうとしている。
20代前半の有望株の顔ぶれは12球団屈指だ。投手なら佐々木朗希(3年目)、野手なら安田尚憲(5年目)、藤原恭大(4年目)、山口航輝(4年目)と高卒の逸材が目白押し。そこへ新たに加わったのが、ドラフト1位捕手の松川虎生(市和歌山高)である。
身長178センチ、98キロのふっくらしたフォルムには、不思議と親しみが湧いてくる。市和歌山高といえば昨年のドラフト会議で2球団から1位指名を受けた右腕・小園健太(DeNA)がいる。松川は小園と中学硬式クラブ・貝塚ヤング時代からバッテリーを組む女房役だった。なお、同一高校からバッテリーでドラフト1位指名を受けたのは史上初の快挙である。
高卒ドラ1・松川虎生の末恐ろしい働きぶり
馬力と繊細さがハイブリッドされた松川のプレースタイルは、奥が深い。その巨体には強力なエンジンが搭載されており、パンチ力抜群の打撃、鋭く伸びていく二塁送球に生かされている。ただし、決して力任せにプレーしているわけではなく、無駄な力感を削ぎ落とした軽やかさがある。また、マウンド上の小園の様子を観察し、必要に応じて声をかける細やかさもある。
こうした松川の資質はロッテ入団直後から一軍首脳陣に高く評価された。高卒ルーキー捕手としては異例の、春先から一軍実戦で経験を積むと、新人らしからぬ落ち着きで結果を残した。実戦では佐々木朗希とバッテリーを組み、160キロ台の剛速球や140キロ台のフォークをきっちり捕球。その末恐ろしい働きぶりに、井口資仁監督は松川の開幕スタメンマスクを明言。2006年の炭谷銀仁朗(当時西武・現楽天)以来3人目となる、高卒新人捕手の開幕先発出場は確実な状況になっている。
新人捕手は覚えることが多い。プロとしての技術、投手ごとのサインやフォーメーションを一から学ばなければならない。松川の負担は大きいだろうが、それ以上に「この捕手なら意外とこなせてしまいそう」という頼もしいムードが漂っている。また、松川の存在が田村龍弘、加藤匠馬、佐藤都志也ら中堅・若手捕手陣の尻に火をつける効果も生まれるだろう。
他にも貴重な右打ち内野手として2位指名した池田来翔(国士舘大)、社会人を代表する速球派右腕である廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)とチームの弱点を着実に補う好選手を獲得できている。
池田はコンタクト能力が高く、牧秀悟(DeNA)のような活躍が期待できる。廣畑は自慢の速球だけでなくカーブ、スライダーなどの変化球も精度が高く、当面はリリーフとして起用されそうな雲行きだ。
千葉ロッテマリーンズ
2021年ドラフト指名選手のオープン戦成績
*1軍成績(3/21終了時点)1.松川虎生・捕手(市立和歌山高)
12試合 3安打 打率.136 0本 1打点 0盗塁
2.池田来翔・内野手(国士舘大)
14試合 3安打 0本 1打点 0盗塁
3.廣畑敦也・投手(三菱自動車倉敷オーシャンズ)
4試合 0勝0敗0セーブ 防御率1.93
4.秋山正雲・投手(二松学舎大付高)
出場なし
5.八木彬・投手(三菱重工West)
3試合 0勝0敗0セーブ 防御率3.00
◇育成
1.田中楓基・投手(旭川実業高)
出場なし
2.速水将太・内野手(富山GRNサンダーバーズ)
出場なし
3.永島田輝斗・投手(立花学園高)
出場なし
4.村山亮介・捕手(幕張総合高)
出場なし