ロッテらしい攻撃

　ロッテは1－1の延長10回に佐藤都志也の犠飛でサヨナラ勝ちし、連敗を4で止めた。

　奪った得点は2点だったが、“犠打”、“足を使った攻撃”、“四死球を選んでチャンスを広げる”といったロッテらしい攻撃の一端が垣間見えた。

　先制点を奪った初回は一死走者なしから今季初スタメンとなった2番・藤原恭大が内野安打で出塁し盗塁を決める。3番・中村奨吾が四球を選び一、二塁とすると、4番・マーティンが一塁ゴロで、二塁走者の藤原、一塁走者の中村がそれぞれ進塁。5番・佐藤の打席中に暴投で、三塁走者の藤原が先制のホームを踏むと、西武の捕手・森友哉がボールを捕りにいくのが少し遅れているのを見て、二塁走者の中村も一気にホームを狙う。惜しくもタッチアウトとはなったが、相手の隙を見て“1つ先の塁を狙う”ロッテらしい走塁だった。

　1－0の6回は得点できなかったが、100球目前に迫った西武先発・高橋光成に対ししぶとい攻撃。この回先頭の髙部は三ゴロに倒れたが、1ボールから8球連続ファウルで粘り9球投げさせた。続く藤原は四球を選び、中村は三直も、マーティンが死球、佐藤も四球で満塁とした。ボールが先行する高橋光成の前に、レアードは1ストライクから2球目のストレートを打ちにいき、三塁ゴロ。ここで1本出なかったことは反省だが、髙部の粘りから制球が乱れ3つの四死球でチャンスを作った。ちなみに6回の29球が、イニング別では高橋光成に対しもっとも球数を投げさせたイニングだった。

　この日は3つの犠打を決め、佐藤がサヨナラ打を放った10回も無死一、二塁から中村がきっちりと送った。中村は1－1の8回無死一塁の打席でも、平良海馬のストレートを初球で送りバントを決め、4回の第2打席は見逃し三振も13球の粘り。無安打だったが、1四球2犠打と内容のある打席が多かった。

高卒ドラ1組が良い働き

　“高卒ドラ1”でプロ入りした安田尚憲、藤原、松川虎生も良い働きを見せた。特例2022の対象選手の代替指名選手として今季初昇格を果たした安田は『7番・三塁』でスタメン出場し、7回の第3打席に水上由伸の低めのフォークをセンター前に弾き返し今季初安打をマーク。三塁の守備でも5回に森友哉の三遊間の当たりをダイビングキャッチする好守備を見せた。

　藤原も『2番・中堅』で今季初スタメン出場し、初回の第1打席に内野安打で出塁し、続く中村の打席中に二塁盗塁を決め、佐藤の打席中に暴投で三塁から先制のホームを踏んだ。8回に失点に繋がるミスがあった直後の裏の攻撃で、先頭打者としてセンター前に安打を放ちチャンスメイクした。

　松川はバットで無安打だったものの、投手陣を10回1失点に抑える好リード。特に1－1の10回に登板したゲレーロは制球が定まらず3四死球も、一塁・佐藤の好守備にも助けられ、なんとか“0”で切り抜けたことで、その裏のサヨナラ劇にも繋がった。肩でも2回に昨季盗塁王・源田壮亮の二塁盗塁を刺した。

　開幕からスタメン出場を続ける高部、佐藤をはじめ、若手野手たちはこのチャンスを掴もうと必死。勝利に貢献する若手が一人でも増えれば、レアード、マーティンが復調し、荻野貴司が復帰したときにはさらなるチーム力アップにも繋がる。

文＝岩下雄太