苦戦を強いられている阪神の矢野燿大監督 (C) Kyodo News

◆ NPBワースト記録は「12連敗」

 3月25日から「●●●●●●●●●」。

 阪神は3日の巨人戦も5-9で落とし、開幕からの連敗はついに「9」に伸びた。

 これで、開幕からの連敗としてはセ・リーグのワースト記録を更新。9試合のうち5試合が2点差以内と僅差の試合も少なくないが、ヤクルトとの開幕戦で最大7点差をひっくり返されたショックがやはり尾を引いている。

 5日からはDeNAをホーム・甲子園に迎えての3連戦。本拠地に戻り、反撃はなるか。それとも連敗地獄は続くのか……。

 もしDeNAに3タテを食らうようなことがあれば、開幕12連敗となり、NPBの歴代ワーストに並ぶことになる。

 不名誉なNPBワースト記録を保持しているのは、1955年のトンボと1979年の西武の2チームだ。

 前者は1954~1956年の3年間だけ活動していた、パ・リーグ8球団目のいわゆる“寄せ集め”球団。後者はクラウンライターから西武に生まれ変わり、福岡から所沢に移転した1年目のシーズンだった。どちらも“言い訳”ができる陣容だったといえるだろう。

◆ 開幕から「25日後」の初勝利

 メジャーに目を向けてみると、上には上(下には下?)がいる。開幕からの連敗記録を保持しているのが、1988年のボルティモア・オリオールズだ。

 4月4日、ミルウォーキー・ブリュワーズとの開幕戦を0-12というワンサイドゲームで落とすと、その後も投打がまったくかみ合わず。6連敗を喫した直後には、早くもカル・リプケン・シニア監督が解任される事態に発展した。

 さらに新指揮官フランク・ロビンソン監督の下でもチームは活性化せず、シーズン初勝利は開幕から25日後の4月29日。連敗記録は「21」に達していた。

 最終的には54勝107敗でそのシーズン終えたオリオールズ。当時7チームあったア・リーグ東地区の最下位に沈んだのは言うまでもない。

 首位から5位は3.5ゲーム差、6位までも11ゲーム差という大混戦のなか、オリオールズは首位から34.5ゲーム差という“一人負け”状態だった。

 ただし、その年のオリオールズはチーム史上最悪のシーズンを送ったわけではなかった。

 ボルティモアに移転した1954年以降の勝率を順番に並べると、下から4番目。なんとワースト1~3位を占めているのは直近4年間である。

▼ オリオールズのシーズン勝率ワーストランキング
1位:2018年=勝率.290(47勝115敗)
2位:2021年=勝率.321(52勝110敗)
3位:2019年=勝率.333(54勝108勝)
4位:1988年=勝率.335(54勝107敗)
5位:1954年=勝率.351(54勝100敗)
<※ボルティモアに移転した1954年以降>

 さすがに阪神の連敗はそろそろ終わりを迎えると思いたいが、いまだ真っ暗なトンネルの中にいることに間違いはない。

 オセロのように形勢逆転を図るためにも、まずは一つ目の「○」が欲しい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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八木遊

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