先発陣が安定
「1.38」
これはロッテが開幕10試合を終えてのチーム先発防御率だ。ここまで全ての試合で先発投手は5イニング以上を投げ、クオリティ・スタート(6回以上3自責点以内)は8度達成している。
▼QS達成した投手
3月27日vs楽天 佐々木朗希 6回 自責3
3月29日vsソフトバンク ロメロ 7回 自責1
3月30日vsソフトバンク 小島和哉 6回 自責1
4月1日vs西武 石川 歩 8回 自責0
4月2日vs西武 二木康太 7回 自責0
4月3日vs西武 佐々木朗希 8回 自責1
4月5日vs日本ハム ロメロ 6回 自責0
6イニング以上投げた先発は、全員QSを達成。そして凄いのは佐々木朗希が6回を投げ自責点3だった3月27日の楽天戦を最後に、QS達成した投手は自責点2以上が1度もない。
開幕したばかりで多くて先発が2試合と、ここで先発陣が“絶好調”と判断するのは早いが、石川歩、小島和哉、佐々木朗希、ロメロといった軸として期待される投手たちが好スタートを切ったというのはポジティブに捉えて良いだろう。
直近5年の開幕10試合は?
直近5年の開幕10試合の先発投手の成績を見ても、今季の先発陣の充実ぶりがわかる。
▼直近5年の開幕10試合を終えてのチーム先発成績
18年:5勝3敗 59回2/3 被安59 振48 与四30 被本 5 QS5 防3.47
19年:1勝6敗 39回2/3 被安61 振26 与四24 被本11 QS1 防9.30
20年:3勝1敗 54回2/3 被安48 振49 与四13 被本 7 QS4 防3.95
21年:2勝3敗 58回1/3 被安43 振48 与四30 被本10 QS4 防3.55
22年:4勝1敗 65回 被安41 振57 与四11 被本2 QS8 防1.38
QS、チーム先発防御率もそうだが、先発投手の成績をみてわかるのは奪三振数が増え、与四球、被本塁打が極端に減ったこと。ロッテの先発陣は近年、三振の取れる投手が少なかったなか、佐々木朗希が先発ローテーションに入ったことで奪三振数が一気に増えた。佐々木は14イニングを投げ、奪三振は23個、奪三振率は驚異の“14.79”。昨年10月14日のオリックス戦の2回から公式戦では25イニング連続奪三振中だ。
与四球も20年に10試合を終えて13個ということもあったが、今季はここまでわずかに与四球は11。1試合に3個以上四球を与えた投手は誰もいない。石川はここまでリーグトップの15イニングを投げ、与四球は0。抜群の制球力を誇る。
昨季は勝負所で一発を食らうなど非常に被本塁打が多かった。今季はここまで10試合を終えて、被本塁打はわずかに2本。4月6日の日本ハム戦に先発した本前郁也が一発を打たれるまで、開幕から9試合は先発投手どころか、投手陣全体で本塁打を1本も打たれていなかった。その要因を盛り込みたかったが、コロナ禍で取材できるチャンスがないので、機会があったときに記事にできればと思う。
ロッテは4月中、6連戦が1度(26日の楽天戦〜5月1日の日本ハム戦)しかなく、先発ローテーションを5人で回していけることに加え、変則的な日程になっていることで1度登録抹消させて、中10日で先発させることもできる。
開幕直後に昨季8勝を挙げた岩下大輝が右肘を手術したが、ファームにも河村説人、森遼大朗、古谷拓郎、土肥星也、中森俊介などが控えている。さらには右肘のトミー・ジョン手術から復帰を目指す種市篤暉もいる。ファームの先発を含めて、“5勝〜8勝”できる投手の数は多い。先発の軸となる投手たちに2桁勝利と貯金を期待し、調子の良い投手をうまく見極めて起用すれば、シーズン通して安定した先発陣を形成することができるのではないだろうか。
現状、“勝ちパターン”のところで不安定さはあるが、益田直也が守護神に君臨していれば、やり繰りしていくなかで昨年と同じように、徐々に7回、8回の形を作っていけるはず。
先発投手がゲームを作り、打線がある程度援護し、そのリードをリリーフ陣が守りきる試合を増やすことができれば、当然今以上に勝ち星が増えていく。先発投手が安定している今、先発投手と打線が噛み合った試合を増やしていきたい。
文=岩下雄太