○ ロッテ 6 - 0 オリックス ●
<3回戦・ZOZOマリン>
ロッテの佐々木朗希が、NPB新記録となる13者連続奪三振、NPB最多タイとなる1試合19奪三振、プロ野球史上16人目となる完全試合を達成。記録づくしの1日になった。
0-0の1回二死走者なしで3番・吉田正尚を148キロのフォークでこの日初めての三振を奪う。この奪三振が“伝説”のはじまりだった。2回、3回と3者連続奪三振を奪うと、4回も先頭の後藤駿太をフォークで空振り三振、続くバレラを162キロのストレートでNPBタイ記録となる9者連続奪三振。吉田正を2球連続カーブで追い込むと、4球目のフォークで空振り三振を奪い、これでNPB新記録となる10者連続奪三振となった。
5回に入ってもラベロ、福田周平、西村凌を三者連続三振、吉田を三振に仕留めた1回二死走者なしから13人連続奪三振。6回に先頭の紅林弘太郎に中飛で連続奪三振の記録は13でストップしたが、完全試合投球は継続。7回、8回もオリックス打線を無安打に抑え、奪三振も8回終了時点で18を数え、9回を迎えた。
完全試合と1試合最多奪三振の期待が高まる9回は、先頭の中川圭太を三ゴロ、続く山足達也を遊ゴロで2アウト。1試合の奪三振数の記録更新は叶わなかったが、杉本裕太郎を空振り三振に仕留め、完全試合とNPB最多タイとなる1試合19奪三振を達成した。
佐々木は試合後、球団を通じて「ロッカーに戻ったら沢山の祝福メールやLINEなどをいただきました。重光昭夫会長オーナーからも『完全試合、日本新の13者連続三振 おめでとうございます。素晴らしい投球でした』と試合後、すぐにメッセージをいただき、とても嬉しかったですし光栄でした。色々な方にこうやって祝福の言葉をいただけて、本当に幸せだなあと思います。次回登板も頑張ります」とコメントした。
前回の西武戦もそうだったが、佐々木朗希が登板した試合は若手選手たちも良い働きをしているように見える。
初回、佐々木朗希と同期入団の大卒3年目の1番・髙部瑛斗がセンター前に運ぶと、続く高卒4年目の2番・藤原恭大がショートとレフトの間にポトリと落ちる安打。スタートを切っていた一塁走者の髙部は三塁へ進み、一、三塁と先制の好機を作る。3番・中村奨吾の打席中に、一塁走者の藤原が今季4つ目となる盗塁を決め二、三塁とすると、一死後、レアードの遊ゴロの間に三塁走者の髙部が先制のホームを踏んだ。
6回はレアードとエチェバリアの適時打で2点を挙げ、なお二死満塁でルーキーの松川虎生がセンターフェンス直撃の走者一掃の3点適時二塁打で、リードだけでなくバットでも佐々木朗希を援護した。
この日『6番・一塁』で出場した大卒3年目の佐藤都志也も、6回の第3打席にライト前に安打を放ち、エチェバリアのセンター前へのヒットで一塁から一気に三塁を陥れるなど、“1つ先の塁”を狙う走塁を見せた。
開幕から投手陣でいえば佐々木朗希、廣畑敦也、野手陣でも髙部、佐藤、藤原、松川といった若い選手たちの躍動が目立つ。さらに開幕前に育成から支配下選手となった佐藤奨真、小沼健太も一軍で登板し、野手陣も安田尚憲、平沢大河、福田光輝、山口航輝などが与えられた出場機会で必死にアピールする。
若手が伸びてきている背景には、球団として育成方針を振り返ったり、この先の若手選手を育成していくための蓄積されたデータを球団としてしっかり管理もしていることが挙げられる。
河合克美オーナー代行兼社長は昨年11月16日に行われた総括会見で、「今までがあまりにもうちのチームは、データの整備ができていませんでした。新人になればなるほどデータが揃っている。それに対してどこまで目標に達しているのか、達していないのか、1シーズンで見たときに好不調ってでますけど、育成段階の選手はシーズン通してパフォーマンスをフルに出せるだけの体力がないじゃないですか。同時に体力がないなかで、あるレベルで維持させられるかという経験もない。厳しいですよね。若い選手たちは体力的にも経験的にも1年通して、疲れが溜まっているところでもそれを乗り越えて、パフォーマンスを下げずにやっていけるか。これは経験しかない。データで示して、このとき体重が落ちているとかね、いろんなことがデータとしてありますから選手と向き合って、コーチと向き合うことによって、来年度どういう体を作っていくのか、(体力が)落ちそうになったときにどうするのかというのをお互いに納得しながら、ここがクリアできれば、もう一歩上にいけるよねと各選手、コーチが考えるためにもデータが一番。そうでないと、単なる掛け声になってしまう。そうすると選手たちも納得しないでしょう」と話した。
さらに、2020年からは順天堂大学・医学部と提携を結び、コンディショニング、運動能力測定、救急対応、栄養管理部門などのサポートを受けている。近年は注目の高卒ドラ1ルーキーが入団してくるなかで、球団は高卒ドラ1組に限らず、若手選手たちを“一人前”に育てようとする本気度が伝わってくる。投打に若手が“1本立ち”する選手が一人でも多く出てくれば、ロッテが目指す“常勝軍団”に繋がる。まずは、今季シーズン通して若手選手たちが躍動することを期待したい。そうすれば、きっと明るい未来が待っているはずだ。
文=岩下雄太
<3回戦・ZOZOマリン>
佐々木朗希が完全試合
0-0の1回二死走者なしで3番・吉田正尚を148キロのフォークでこの日初めての三振を奪う。この奪三振が“伝説”のはじまりだった。2回、3回と3者連続奪三振を奪うと、4回も先頭の後藤駿太をフォークで空振り三振、続くバレラを162キロのストレートでNPBタイ記録となる9者連続奪三振。吉田正を2球連続カーブで追い込むと、4球目のフォークで空振り三振を奪い、これでNPB新記録となる10者連続奪三振となった。
5回に入ってもラベロ、福田周平、西村凌を三者連続三振、吉田を三振に仕留めた1回二死走者なしから13人連続奪三振。6回に先頭の紅林弘太郎に中飛で連続奪三振の記録は13でストップしたが、完全試合投球は継続。7回、8回もオリックス打線を無安打に抑え、奪三振も8回終了時点で18を数え、9回を迎えた。
完全試合と1試合最多奪三振の期待が高まる9回は、先頭の中川圭太を三ゴロ、続く山足達也を遊ゴロで2アウト。1試合の奪三振数の記録更新は叶わなかったが、杉本裕太郎を空振り三振に仕留め、完全試合とNPB最多タイとなる1試合19奪三振を達成した。
佐々木は試合後、球団を通じて「ロッカーに戻ったら沢山の祝福メールやLINEなどをいただきました。重光昭夫会長オーナーからも『完全試合、日本新の13者連続三振 おめでとうございます。素晴らしい投球でした』と試合後、すぐにメッセージをいただき、とても嬉しかったですし光栄でした。色々な方にこうやって祝福の言葉をいただけて、本当に幸せだなあと思います。次回登板も頑張ります」とコメントした。
若手野手も躍動
前回の西武戦もそうだったが、佐々木朗希が登板した試合は若手選手たちも良い働きをしているように見える。
初回、佐々木朗希と同期入団の大卒3年目の1番・髙部瑛斗がセンター前に運ぶと、続く高卒4年目の2番・藤原恭大がショートとレフトの間にポトリと落ちる安打。スタートを切っていた一塁走者の髙部は三塁へ進み、一、三塁と先制の好機を作る。3番・中村奨吾の打席中に、一塁走者の藤原が今季4つ目となる盗塁を決め二、三塁とすると、一死後、レアードの遊ゴロの間に三塁走者の髙部が先制のホームを踏んだ。
6回はレアードとエチェバリアの適時打で2点を挙げ、なお二死満塁でルーキーの松川虎生がセンターフェンス直撃の走者一掃の3点適時二塁打で、リードだけでなくバットでも佐々木朗希を援護した。
この日『6番・一塁』で出場した大卒3年目の佐藤都志也も、6回の第3打席にライト前に安打を放ち、エチェバリアのセンター前へのヒットで一塁から一気に三塁を陥れるなど、“1つ先の塁”を狙う走塁を見せた。
将来を見据えて
開幕から投手陣でいえば佐々木朗希、廣畑敦也、野手陣でも髙部、佐藤、藤原、松川といった若い選手たちの躍動が目立つ。さらに開幕前に育成から支配下選手となった佐藤奨真、小沼健太も一軍で登板し、野手陣も安田尚憲、平沢大河、福田光輝、山口航輝などが与えられた出場機会で必死にアピールする。
若手が伸びてきている背景には、球団として育成方針を振り返ったり、この先の若手選手を育成していくための蓄積されたデータを球団としてしっかり管理もしていることが挙げられる。
河合克美オーナー代行兼社長は昨年11月16日に行われた総括会見で、「今までがあまりにもうちのチームは、データの整備ができていませんでした。新人になればなるほどデータが揃っている。それに対してどこまで目標に達しているのか、達していないのか、1シーズンで見たときに好不調ってでますけど、育成段階の選手はシーズン通してパフォーマンスをフルに出せるだけの体力がないじゃないですか。同時に体力がないなかで、あるレベルで維持させられるかという経験もない。厳しいですよね。若い選手たちは体力的にも経験的にも1年通して、疲れが溜まっているところでもそれを乗り越えて、パフォーマンスを下げずにやっていけるか。これは経験しかない。データで示して、このとき体重が落ちているとかね、いろんなことがデータとしてありますから選手と向き合って、コーチと向き合うことによって、来年度どういう体を作っていくのか、(体力が)落ちそうになったときにどうするのかというのをお互いに納得しながら、ここがクリアできれば、もう一歩上にいけるよねと各選手、コーチが考えるためにもデータが一番。そうでないと、単なる掛け声になってしまう。そうすると選手たちも納得しないでしょう」と話した。
さらに、2020年からは順天堂大学・医学部と提携を結び、コンディショニング、運動能力測定、救急対応、栄養管理部門などのサポートを受けている。近年は注目の高卒ドラ1ルーキーが入団してくるなかで、球団は高卒ドラ1組に限らず、若手選手たちを“一人前”に育てようとする本気度が伝わってくる。投打に若手が“1本立ち”する選手が一人でも多く出てくれば、ロッテが目指す“常勝軍団”に繋がる。まずは、今季シーズン通して若手選手たちが躍動することを期待したい。そうすれば、きっと明るい未来が待っているはずだ。
文=岩下雄太