“支配下登録”の目標をクリア
「まずは支配下選手登録が一番。そこはクリアして、優勝目指していくなかでそのなかの一人になれればなと思います」。
昨年11月に行ったオンライン取材で今季に向けて“支配下選手登録”を目標に掲げたロッテの小沼健太が、開幕前の3月22日に支配下選手登録を掴み取った。
目標を達成した小沼は「安心しました」と率直な感想を口にした。昨季育成選手ながらファームで抑えを任され、セーブ機会で1度も失敗することなくイースタン最多の18セーブをマーク。
シーズンオフは「僕は体の操作があまりできないタイプなので、細かい動きを中心に。ウエイトも大きい動きをしたんですけど、それ以外でジャンプ系のトレーニングだったり細かいトレーニングをいれました」と体の使い方を見直した。「球も強くなり、結果が出てきたのかなと思います」と手応えを掴む。
「これまで以上に体の構造、細かい部分を考えるようになった。そこは自分のなかでも成長したように思います」。
カーブとフォークの精度アップ
昨年11月にはシーズンオフの間に変化球の精度をあげたいと話していたが、2月の対外試合から小沼の投球を見ると、カーブやフォークの精度が上がったように見える。
「順調というか、1試合しか一軍で投げていないですけど、ソフトバンク戦ではカーブでストライクが取れましたし、フォークでもしっかり抑えていけた。課題にしていたところが一軍の舞台で発揮できたのは良かったと思います」。
プロ初登板となった3月30日のソフトバンク戦もそうだが、2月の対外試合からカウント球としてストレート、カットボールだけでなく、カーブやフォークも織り交ぜている。2月23日のオリックスとの練習試合では、渡部遼人に1ボール1ストライクから3球目にカーブを投じストライクを奪えば、太田椋にも1ボールから投じた2球目のカーブでストライクを取った。
「カーブに関しては一番苦手な変化球。今もそうなんですけど、松川だったり、積極的にサインで出してくれるので、出された以上は自信を持ってしっかり投げたい。“ボールになってもいいや!”という気持ちで低めに、今はコントロールできている。カーブはこれからも使っていけたらなと思います」。
フォークに関しても、追い込んでから投げるだけでなく、カウント球としてストライクゾーンに投げ込む。
「去年だったらストレートでファウルを取ったりすることが多くて、フォークで空振りをさせようという意図があった。一軍になるとストレートとカーブだけでは難しい。カウントでフォークを入れられたら幅が広がるかなというのはあるので、そこはしっかり入れていっていますね」。
フォークやカーブをカウント球として投げるようになったことで、カウントの稼ぎ方がうまくなった印象だ。
本人も「一番はストレートが強くなったので、ファウルをしっかり稼ぎたいときに稼げるようになった。そこが一番大きいポイントかなと思います」と自信を見せた。
“奪三振”へのこだわり捨てる?
昨年は、ファームで34試合・34回2/3を投げて、奪三振が20個と“奪三振”という部分を課題にしていた。
昨年11月時点で「今までも三振が取れる方ではなかった。結果的に三振も少なく、四球も少ないんですけど、一軍に上がるためには三振数というのを、防御率以上に僕自身大切にしないといけないと思っています」と、“三振”にこだわっていく考えを示していたが、現在は「(三振が)取れないので、今は無理してこだわる必要はないかなと。今はそういう思いです」とのことだ。
その理由について「一軍は結果が全てなので、どんな(アウトの)取り方でもしっかり自分のいい球を投げてアウトを取れることが今は一番かなと思います」と教えてくれた。
現状ではビハインドゲームでの登板が中心だが、ファームで抑えを担当したように、一軍でも勝利の方程式で投げたいという想いを持っている。「3人で終わるというのがチームの流れを作れる。ビハインドだけどしっかり3人でというのを意識している。それの積み重ねが、勝ちパターンに入れると思うので、そこは意識しています」。
今季の目標に挙げていた“支配下選手登録”を叶えた。次なる目標は「今シーズンずっと一軍にいることと、20試合、30試合と積み重ねていけたらなと思います」。1試合、1試合、結果を残した先に目標の達成が見えてくる。
取材・文=岩下雄太