◆ 18イニングぶりの被安打、23イニングぶりの失点
ロッテの佐々木朗希投手(20)は24日、敵地で行われたオリックス戦に先発登板。
この日は5回を投げて被安打6に四死球は5と走者を背負うシーンも多かったが、粘って粘って4奪三振の2失点。なんとか試合を作り、今季3勝目(0敗)を掴んだ。
前々回の登板が完全試合、前回登板も8回パーフェクト投球と快投を続けてきた“令和の怪物”。しかし、この日は立ち上がりからオリックス打線に苦戦を強いられる。
初回、先頭の福田周平に初球の159キロをライトに弾き返されて18イニングぶりの被安打。久々の走者を背負うと、一死から紅林弘太郎はファーストへのゴロに打ち取るも、自身のベースカバーが遅れて内野安打に。一・二塁のピンチで吉田正尚には三遊間を破られる安打を浴びたが、ここはレフトの髙部瑛斗が好返球で二塁走者の生還を許さず。味方の好守にも助けられ、立ち上がりは無失点で終えた。
その後もゼロを並べていくが、四球3つに死球が2つと、ここ2戦にはなかった制球の乱れが目立つ。5回は紅林を併殺に打ち取る間に23イニングぶりの失点を喫し、吉田正には左中間への適時二塁打。なんとか5回は投げきったものの、被安打6に四死球5つで2失点と苦しいマウンドになった。
24日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した五十嵐亮太氏は、この日の佐々木について「良くないなりに5回まで投げきった」と及第点の評価。
「ストレートは164キロも出ていたと思いますが、フォークのコントロールを乱すシーンが多かった」と内容を振り返りつつ、「相手も上から叩いてくる打者が多かった中、ゴロで逃げ切るというシーンもあった。本来の投球ではなかったが、その中でもよく抑えたかなと」と、勝負球の精度には手を焼きながらも試合を作った点を強調した。
一方で、課題については「オリックス打線が前回の教訓をいかした対応をしてきた。フォークで逃げたくもなるが、そういった時にどう抑えていくか。バッテリーは新しい対策を考えていかなければならない」とコメント。
プロ野球はリーグ戦。シーズンを通して活躍するということは、対戦を経て研究と対策を練ってくる相手を再び抑えていく必要がある。五十嵐氏は「若い2人にとっては成長を促す良いキッカケになるのでは」と付け加え、20歳の佐々木朗希と18歳の松川虎生の“最年少完全試合バッテリー”の伸びしろに期待を寄せた。
◆ 「結果的に誤解を招いてしまった」
また、この日は投球以外のシーンも大きな話題に。
2回二死一塁、安達了一を2ストライクと追い込んだ状態で投じた3球目のボールはわずかに外れてボールの判定。この間に一塁走者がスタートを切り、二塁はセーフで二死二塁から再開……と思いきや、球審の白井が佐々木のもとに歩み寄り、捕手の松川がそれを制止するように間に入るというひと幕があった。
番組MCの岩本勉氏は「(佐々木の)感情が表に出てしまって、アンパイアの方も人間ですから、その感情がぶつかった時に嫌なスパイラルが起こってしまったかなと」と、一連の流れについて説明。
解説者の大矢明彦氏は「あんまりアンパイアは怒らせない方が良いよね。こういうことがあると構えられる。(審判に)意識されてしまうと良い影響はない」とし、「投げるだけでなく守備やベースカバーも。“プロの投手”になると、覚えることがたくさんある」と自身の見解を述べる。
投手出身の五十嵐氏は「リアクションは出てしまうもの。それに対して審判の方が反応する気持ちも分かる」としたうえで、「投手に対して注意するのは良いんですが、感情的になるかならないかというところは重要なポイント。冷静に『今のは良くないですよ』と伝えることが大事かなと」と語り、突然マウンドの佐々木に向かって詰め寄って行った点について言及。
そのうえで佐々木には「本人も審判に向かってやったつもりはないと思う。ただ、結果的に誤解を招いてしまったことは間違いないので、今日の出来事を胸にしまって次の投球に向かってほしい」とコメント。「若い投手なのでこういったことはあってもおかしくない。次にそうならないように生かすことが大事」とした。