ストレートに手応え
開幕前の3月22日に支配下選手登録を掴んだロッテの佐藤奨真は現在、一軍昇格を目指しファームで腕を振っている。
新人だった昨季ファームで7勝を挙げ、支配下選手登録に向けて昨年12月の取材では「ストレートの強さ、チェンジアップ」をテーマに掲げていた。
今年の投球映像を見ると、ストレートが昨年に比べて強くなった印象を受ける。本人も「ストレートの質もよくなったと自分のなかでも思っているので、そこは取り組んできた成果が出て良かったと思います」と好感触を得た。
チェンジアップは今季あまり投げていないが、「今のところは使う場面があんまりなかったので、使っていないだけでこれから増えていくと思います」とのことで、「チェンジアップはよくなっていて、左バッターにも右バッターにも投げられるようになってきている」と昨年までは投げきれていなかった左打者へも投げ込む。
チェンジアップよりも、今季はカウント球でも勝負球でもカーブを投じるケースが多い。佐藤にとってカーブは、「カットボールの次に自信のある球」という位置付け。
「去年と変わらずいい感じで投げられている。一軍で投げる時は中継ぎが多かったので、そういう意味でも最初からカーブをどんどん投げる場面が多かったと思います」。
2月24日のソフトバンクとの練習試合、10-3の6回一死走者なしから井上朋也に対し、1ストライクから投じた2球目の空振りを奪った101キロカーブ、3月27日のヤクルトとの二軍戦で坂口智隆、太田賢吾ら左打者に追い込んでから投じたカーブが非常に良かった。
プレートの踏む位置を戻す
プレートの踏む位置に注目してみると、昨季4月23日の西武との二軍戦から「チェンジアップをしっかり投げるようになってから、三塁側に踏んだ方がいい変化になるなというのを思って、そこから今年(21年)はずっと三塁側を踏んでいました」と一塁側プレートから三塁側プレートに変更して投げていたが、今年は再び一塁側のプレートを踏んで投げている。
その理由について「体幹がうまく使えるようになって、右もインコースに引っ掛ける球が多くなってしまったのと、一塁側の方がインコースに角度が出る。プレートの位置を(一塁側に)戻して、そのまま直したという感じです」と説明した。
チェンジアップは良くなっていると話していたように、一塁側プレートに戻してからも「チェンジアップをなんなく投げられたので、これはこれでこのままやっていけばいいかなと思いました」と全く問題ない。
2、3月の一軍対外試合は無失点
2月の練習試合、オープン戦で7試合・9回1/3を投げ無失点に抑え、支配下選手登録を掴み、シーズンが開幕してからは特例2022の代替指名選手で昇格すると、3月31日のソフトバンク戦で一軍デビューを果たし、1イニングを投げ無失点に抑えた。
2月の対外試合から一軍ではリリーフでの登板が多かったが、ファームでは4月以降の登板は2試合全て先発。19日の西武との二軍戦では5回を投げ1失点という内容だった。
一軍ではリリーフ、ファームでは先発と、役割の違いによる調整の難しさはあったりするのだろうかーー。
「中継ぎは準備が難しかったりするんですけど、それも自分の経験としてしっかりやっていければいいと思います」。
「特に中継ぎだから、先発だからということを考えないようにしていて、与えられたチャンスで結果を残せるような準備をしていますね」。
先発であろうと、リリーフであろうと、求められた場所で全うする考え。その一方で、「先発登板したいので、そこに向けて準備できたらいいかなと思います」と、一軍で先発のマウンドに上がりたいという想いを持っている。
一軍の舞台を経験して「今やっているストレートの質、チェンジアップ、変化球のコントロールの精度をあげていければ、もっと通用するんじゃないかなと感じました」と佐藤。次回昇格するときには、さらにパワーアップした姿を見せてくれるはずだ。
取材・文=岩下雄太