プロ初勝利から2連勝
中日に次世代のエース候補が誕生した。
2020年のドラフト1位右腕、高卒2年目の髙橋宏斗投手(19)である。
地元の名門・中京大中京高から加入した愛知県出身の右腕は、今季2戦目となった4月7日のヤクルト戦でプロ初勝利をマーク。登録抹消を挟んで臨んだ20日の試合もヤクルトから2勝目を挙げ、現在のところプロ初勝利から2連勝中だ。
本拠地初白星となった20日の一戦では強力・ヤクルト打線を相手に6回8奪三振で1失点の好投。山田哲人や村上宗隆といった球界を代表する強打者に真っ向勝負を挑み、三振を奪うシーンも目立った。
雨のため当初の予定がズレ、聖地・甲子園での登板はなかったものの、29日の本拠地・広島戦で今季4度目のマウンドへ。チームは連敗中、加えて打率リーグトップの大島洋平が抹消と苦境の中にあるが、広島のエース・大瀬良大地との投げ合いでどんな投球を見せるのか、注目が集まる。
現在の中日の先発陣を見てみると、柱は今年9月で34歳になる左腕の大野雄大がいる。そして昨季防御率と奪三振の二冠に輝いた柳裕也はこの4月で28歳になった。
髙橋宏斗は今年8月でハタチ。右腕が順調に育っていけば、この先に控えるエースの世代交代もスムーズに進んでいくことだろう。
球団としても、地元・愛知出身のエースをなんとか育て上げていきたいところだろう。その中で気がかりな点と言えば、中日が「生え抜き高卒右腕」の育成に苦労していることだ。
平成では「生え抜き高卒右腕」のタイトル獲得なし
これまでの中日投手陣を振り返ってみると、「生え抜き高卒右腕」による2ケタ勝利は2009年の朝倉健太(東邦高→99年1位)が最後。
もっと言えば規定投球のクリアもその朝倉が最後で、2010年以降はエース格以前にシーズンを通して働くことができるローテーション投手も出てこなかったということだ。
安定した投手陣を擁して数々のタイトルホルダーも輩出している中日だが、主要タイトル獲得者の名前を見ても、平成以降は「高卒生え抜き右腕」の名前が見当たらない。
最後に中日の「高卒生え抜き右腕」がタイトルを獲得したのは、1987年に最多勝に輝いた小松辰雄(星稜高→77年2位)。30年以上も遠ざかっているのだ。
左腕では山本昌や今中慎二、野口茂樹といったところが獲得しており、右腕でも大卒か社会人出身であれば川上憲伸や吉見一起、そして現在のローテを支えている柳裕也がいる。しかし、不思議なことに「高卒の右腕」に絞ると一人もいない。
それだけに、今メキメキと頭角を現している髙橋宏斗にかかる期待は大きい。チーム待望の「生え抜き高卒エース右腕」の誕生なるか、背番号19の挑戦を見守りたい。