中日・大野雄大 (C) Kyodo News

◆ どんな場面でも決まり事は欠かさない

 中日・大野雄大が6日の阪神戦(バンテリンドーム)で9回完全投球を演じ、延長10回を投げて被安打1の無失点。サヨナラ勝ちを呼び込み、白星を得た。

 許した安打は10回二死で佐藤輝明に浴びた右中間への二塁打のみ。打球が弾むと同時に、記者席からエースに目をやった。左腕は一目散に三塁ベースカバーへ走っていた。

 大野は「ベースカバーは普通ですよ」と笑っていた。だが、完封を逃す場面、終盤で逆転の一打を食らう場面、ここ一番のシーンで先発投手が必ずしも決まり事を欠かさないかと言われれば、そうでもない現実がある。

 日の丸を背負う球界のエースたちでも、表情をゆがめて天を仰いだり、マウンド付近をうろついたり……。ベースカバーへ向かうそぶりは見せても、完全にベースカバーに入る選手ばかりではないと思う。

 エースの落ち着き、場面に対処する能力はこの直後にも出ている。

 打席は4番・大山悠輔。大野は一度、プレートを外している。

 そのまま、二走・佐藤輝をギッと見た。警戒するのが守る側の努め。記者席からは、黙ってジッと立っとけ、と目で訴えているように映った。

 捕手・木下拓哉は「ボクは(プレートを外せの)サインは出していませんよ」と話した。大野は自らの判断で、走者を最大限ケアして主砲と対峙。二飛に抑えて、サヨナラ勝ちを演出したのだ。

◆ みんなから愛されるエース

 マウンドの振る舞いはプレーヤーとしての価値を、その後のコメントは人間性を表す。

 「チームが何とか勝ってくれたらいいなと思っていた。僕は10回で降板すると決まっていました。タカヤ(石川昂弥)が打ってくれると思っていました」

  石川のサヨナラ打を確認して満面の笑み。33歳エースは、売り出し中の20歳をねぎらった。

 試合後のロッカー。出迎え、9回完全をたたえた投手陣、チームメートに「結局、ただの完封じゃんかよ~(笑)」とからかわれたのだとか。

 大野の人柄あっての周囲の言葉。エースは照れ笑いを浮かべ、ロッカーは大笑いする声が響いたという。

 試合のポイントは抑えつつ、かといって窮屈にはならない。肩肘張らず、他者に敬意を払うから愛される。

 厳しい勝負の世界の中に、希有な存在として大野雄大は一目置かれている。

文=川本光憲(中日スポーツ・ドラゴンズ担当)


【中日スポーツ】
中日新聞社の発行するスポーツ紙(https://www.chunichi.co.jp/chuspo/)。
中日ドラゴンズの取材に注力し、アマスポーツ、ギャンブル、芸能も情報豊かに届ける。
スポーツや舞台、芸術など本社主催などイベント情報は、中日新聞プラス(https://chuplus.jp/event/index.php?ref=cwevent)。
中日球団は(https://dragons.jp/news/)へ。

この記事を書いたのは

川本光憲

川本光憲 の記事をもっと見る

【PR】中日ドラゴンズを観戦するなら「DAZN Baseball」

DAZN BASEBALL

井上一樹新監督の下、3年連続最下位からの浮上を目指す中日。小笠原慎之介やライデル・マルティネスの抜けた穴をどう埋めるのか、また得点力不足の改善が上位進出のカギ!

「DAZN Baseball」とは、月額2,300円(税込)でDAZNのプロ野球コンテンツをすべて楽しめるプランです(月々払いの年間プランのみ)。

プロ野球だけを楽しみたい方は、月額4,200円(税込)のDAZN Standard​よりも1,900円お得に視聴できます。

POINT

ペナントシリーズ、交流戦、CSまで余さず堪能できる!

② オフシーズンもドキュメンタリーやバズリプレイなどコンテンツが充実!

毎月2,300円でライブ配信・見逃し配信・ハイライトまで視聴可能!

【PR】「DMM×DAZNホーダイ」でプロ野球を観よう!

「DMM×DAZNホーダイ」とは、DMMプレミアムとDAZN Standardをセットで利用できるプラン。

単体契約ならDMMプレミアム月額550円(税込)、DAZN Standard月額4,200円(税込)のところ、本プランなら月額3,480円(税込)だからとってもお得です。

POINT

① 「DMM×DAZNホーダイ」なら単体契約より月額1,270円(税込)も安い!

② DAZNだけの契約と比較しても月額720円(税込)お得に楽しめる!

③ 新規入会月から最大3カ月間、「DMMポイント」を550ポイント付与!

もっと読む