カーブに自信
「自分でもやってみたいというのがあったので、こういう形になりました」。
プロ入りから3年間リリーフを担当してきたロッテの土居豪人だが、4月17日のヤクルトとの二軍戦で初先発すると、5月10日の巨人との二軍戦ではプロ入り後最長となる7回・99球を投げ2失点にまとめた。ここまで先発では3試合・16回を投げて、防御率2.81という成績を残している。
先発で意識していることについて土居は「今までみたいに全部全力じゃなくて、どれだけ球数を減らせるか考えて投げています」と明かす。
投球面では「力が入ってもいいボールがいかないと思って、力を抜いたなかでどういうボールを投げるかと考えています。今は無駄に力が入らないように意識している感覚です」と教えてくれた。
先発・土居の投球を支えている球種のひとつがカーブだ。「カーブがあるとだいぶ楽になったりしますね」と、長いイニングを投げるうえで有効な球種になっている。
捕手陣からもカーブの評価が高く、土居自身も「カーブは去年のフェニックスくらいから練習し始めていて、今年は結構投げている感じです。変化球のなかで一番ストライクが取れる球種」と自信を見せる。
「このまま先発で練習していって自信をつけられたら、リリーフでも放っていきたい」と、リリーフで再び投げる機会があったときにカーブを投げていきたいという考えを持っている。
ツーシームとストレート
1年目の19年10月のフェニックス・リーグから投げ始めたツーシームも、この3年間で自信を持てる球種のひとつになった。
19年当時は「左バッターには外に投げてボテボテだったり、空振りを取ったりやっていきたい」と話していたが、現在は「左バッターはほとんど外のボールはツーシームがかかっている。今は右のインコースに投げられるように練習しています」と、この3年間でしっかりと“左打者のアウトコース”に投げきれる球種になった。
19年当時ストレートに近い変化球というイメージで投げていたツーシームは、「たぶんツーシームの方が速いと思います」と現在はストレートよりも速い球速となっている。
ストレートも右打者のアウトコースに決まったときの球は素晴らしい。昨年でいえば7月9日の日本ハム戦で、谷内亮太に投じた146キロの外角ストレートは、加藤匠馬捕手の構えたミットにズバッと決まる良い球だった。
土居は「決まればいいと思うんですけど、なかなか決まらないので精度を上げていきたい」と、右打者のアウトコースにストレートを投げきれる割合を増やしていきたいと思っている。
体づくり
体づくりについては、高校時代が体重76キロで1年目の19年11月12日に取材したときには体重92キロを計測し、20年1月の取材では「目指しているのは100キロ」と目標を掲げていた。
今は「体重100キロを超えたり超えなかったりというところを維持できているので、体づくりに関してはいい感じかなと思います」と思い描いたように体づくりができているようだ。
体づくりで特に意識した部分について「筋肉量を増やしたりもそうなんですけど、体重がある程度増えないと筋肉量を増えないと思ったので、そのあたりを意識してやっていました」とのこと。「筋肉量も少しずつあがってきたので、いいかなと思います」と充実した表情を見せた。
現在は一軍を目指しファームで技術を磨く土居。「今はファームで先発しているので、そこで投げるイニング数、自分の中の武器、球種を練習していきながら磨いていって、中継ぎに戻ったときにそれを全部いかせるように練習していきたいです」。いつ一軍に呼ばれてもいいように、準備を進めている。土居が一軍で投げる姿を楽しみに待ちたい。
▼ 土居豪人の先発での成績
4月17日vsヤクルト 4回 69球 被安4 振5 与四死3 自責2
4月27日vs巨人 5回 74球 被安6 振2 与四死1 自責1
5月11日vs巨人 7回 99球 被安5 振2 与四死2 自責2
取材・文=岩下雄太