二軍公式戦デビュー
「もう少しあとかなと思っていましたけど、それよりも早く投げられたのは自分のなかで良かったと思います」。
ロッテのドラフト4位ルーキー・秋山正雲は、4月30日の楽天との二軍戦で実戦デビューを果たし、ここまで2試合に登板している。
2014年の二木康太以降、ロッテの高卒1年目の投手はランニングやウエイトトレーニング、体幹トレーニングなどを徹底的に行い、夏場に実戦デビューを飾り、10月のフェニックス・リーグで実戦経験を積んでいくことが多い。
近年では19年5月5日に行われた巨人との二軍戦で古谷拓郎、翌5月6日の日本ハムとの二軍戦で土居豪人が公式戦デビューを飾っているが、中森俊介も高卒1年目の昨季は主に体づくりを中心に行い、10月のフェニックス・リーグでファームの打者相手に投げたことを考えると、秋山は早い二軍公式戦初登板となる。
川越英隆二軍チーフ投手コーチに実戦登板前、「打たれることは気にしないで、どんどんストライクゾーンで勝負していけ」という言葉をかけてもらった秋山は、1イニングをわずか12球三者凡退に抑える最高のデビューを飾った。
「スイングの速さと打席に立ったときの雰囲気が違うなと思います」とプロの打者の凄さを肌で感じた。
この日投じた12球中11球がストレート。「(江村さんに)ブルペンにきていただいて、まっすぐで押していくぞと話しをしていただきました」とストレート主体だった投球の意図を明かし、自身のストレートについては「少し緊張はしていましたけど、自分が思った以上のボールが投げられたと思います」と振り返った。
秋山の魅力のひとつが、球速以上に速く見えるストレート。
「自分も目標というか、球速以上の体感スピードを感じさせられるようにキレ、ノビを気にしてはいる。その部分ではキャッチャーの江村さんにも言ってもらっている。そこはこれからも大切にしていきたいと思います」。
2度目の登板となった11日に行われた巨人との二軍戦でも、昨季初めて一軍で規定打席に到達した松原聖弥に対して四球を与えたが8球全てストレートを投げ込むなど、全16球中13球がストレートだった。
思考力
ファームで実戦初登板を果たした秋山だが、プロの世界で活躍するためにも、“プロで戦う体”、“プロで生き抜くために自分で考えて練習していく思考力”が必要になってくる。
体づくりをしていくうえで「筋肉もつけていきますけど、体の柔らかさとかを意識しています」と話し、「順調にウエイトのキロ数とかもあがってきていますし、プロに入る前よりは強くなってきているかなと思います」と手応えを掴む。
練習でもこなすだけでなく、「コーチに相談しながらですけど、そのなかで“自分でこれをやったら、こう修正できるかな”というのは自分でも考えてやるようにしています。そこの部分では成長を感じています」と、自分で考えながら練習に取り組めている。
「高校のときは自分がこういう状況というのを言葉に表すことができなかった。それを細かいところまで自分で言葉にできるようにわかっていたいと思っている。人の練習というよりも、自分で考えた方が実になるかなと思います」。
「練習をしているときにコーチがいらっしゃるので、言っていただいたことをノートに書いています」と、寮に帰ってから復習し、それを踏まえて翌日はこういう意識で練習していこうと考えながら過ごしている。
ファームでプロの第一歩を踏み出した秋山。「体を大事に投げ始めてはいますけど、怪我をしないようにやっていきたいと思います」。長いプロ生活にするためにも、体づくりとともに自分のことを理解し、将来の自分を思い描きながら練習に取り組んでいきたいところだ。
取材・文=岩下雄太