美馬に今季初勝利をもたらした度胸
ロッテが敵地で楽天に連勝。
連敗を5で止めて迎えた12日の試合を5-2でモノにし、5月初のカード勝ち越しを決めた。
先発した美馬学はここまで勝ちなしの4敗。この日も立ち上がりは3人で斬ったものの、2回以降は毎回走者を背負う展開となる。
3-0で迎えた5回裏には、先頭の辰己涼介をフルカウントから歩かせてしまうと、山﨑剛にシュートを完璧に弾き返される適時弾塁打を浴びてついに失点。
内野ゴロでひとつアウトを取ったが、西川遥輝の打席で2球目の変化球が外に大きくすっぽ抜ける暴投に。この間に三塁から走者が還り、たちまち1点差とされてしまった。
続投した6回も一死からの連打で二・三塁と一打逆転のピンチ。それでも黒川史陽を低めのフォークで内野ゴロに斬り、辰己涼介もフォークで打ち取ってピンチを脱した。
この日は6回・99球、被安打7に1四球も4奪三振で2失点。終盤はリリーフが無失点でバトンを繋いで5-2の勝利。美馬に待望の今季初勝利がついた。
12日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した解説陣は“6回裏”をターニングポイントに挙げ、中でも捕手・松川虎生のリードに注目。
笘篠賢治氏は「フォークの連投でした。松川も走者が三塁にいて怖さはあったと思うんですが、勇気をもってフォークを続けていた」と振り返り、ボールを逸らせば即同点という緊張感の中で落ちるボールを要求した捕手と投げきった美馬を称えた。
また、元捕手の大矢明彦氏は「投手のベストピッチがフォークという中で割り切れるかどうか」とこの時の心境を察しつつ、「若い捕手はその“割り切る”というのが難しいところですが、思い切ってサインを出していた」とし、18歳の強心臓ぶりを賞賛した。
ここまで打率は.137と打撃ではプロの壁に苦しんでおり、この日も7回無死二塁の場面で2度バントに失敗。2ストライクと追い込まれたが、最後は執念で3バントを決めて貴重な追加点を呼び込んでいる。
このシーンについても笘篠氏は「ピンチバンターもあるのかなと思っていた。しかも裏の守備から柿沼がマスクを被っているので、代打もありだったと思うんですがよく決めきった」とコメント。
大矢氏は「まだ今の時期はいろいろなガマンができるところ」と監督の心境を読みつつ、今回は“勉強”をさせたかったのではと推察。「こういう経験をすることで段々と力がついていく」と、松川の成長に期待するロッテ首脳陣の想いをくみ取った。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2022』