立ち直れぬ開幕投手
風薫る5月。満員の横浜スタジアムに足を運んだベイスターズファンにとっては、なんとも辛いゲームだった。
先発を任された今季の開幕投手・東克樹は、立ち上がりから四球を2つ許す苦しい投球。なんとか初回のピンチをしのぐも、2回には死球と安打でピンチを招き、近本光司に2点適時打を浴びてしまう。
さらに3回には一死から佐藤輝明にライトへの特大弾を叩き込まれ、大山悠輔・糸井嘉男・糸原健斗の3連打で計4失点。裏に代打を送られて降板となった。
この日も3四死球と生命線の制球が安定せず、3イニングで被安打は6本。球数も71までかさむなど、キッカケを掴むマウンドとはならず……。
本人も「短いイニングでマウンドを降りることになり、チームや中継ぎ陣に申し訳ないです」とうなだれた。
打線も4点を追う4回、ネフタリ・ソトの適時二塁打で1点を返し、さらに牧秀悟の内野安打で無死一・三塁と反撃の機運を高めたが、宮﨑敏郎が遊飛、戸柱恭孝は浅い左飛に倒れてたちまち二死。
宮本秀明の打席では牧が盗塁を仕掛けるも二塁はアウト。1点で攻撃を終えると、ゲームの流れは戻って来ることはなく、連日の大敗を喫した。
指揮官は登録抹消を明言
三浦大輔監督は試合後、東について「前回よりは少し良くなっているかな。何球かはそういうボールも見えていた」としつつ、「毎回走者を背負っての投球で、コントロールも甘く、東らしさは出せなかった」と分析する。
今後については「抹消します」と明言。「東らしいボールが投げられれば間違いなく通用するので、自分のボールを取り戻せるようにやってもらいたい」とファームでの再起に期待を寄せた。
攻撃面では「序盤での失点になると攻撃的にも苦しくなってくる」としながら、「その中でもやっていかなければいけない中、昨日と同じような形で引き離されてしまった」と反省。
この日は牧や楠本の失策、ソトの野選も失点に絡み、「走塁判断、投球での失投と細かいミスがこのところ出ている。まだまだチームとしてやって行かなければいけないことがある。(ミスが)試合で出るということは、チームとして取り組んで行かなければいけないこと」と気を引き締めた。
苦しい試合となったが、ビハインドの中でも平田真吾と伊勢大夢は無失点ピッチを継続。伊勢については「投げる度にこのボールで抑えられるという自信が大きなポイント」とし、平田には「痛いところで打たれた経験から、攻めるところ・引くところ、高さよりもコースなど、慎重さの中でも大胆な投球ができている」とコメント。踏ん張っているリリーフ陣への労いは忘れなかった。
連日の大敗で借金は最多の「7」。阪神に直接対決で連敗を喫し、これで2.5ゲーム差に迫られてしまった。
「これからズルズル行かないようにしていかないといけない」
今こそ凡事徹底、横浜一心の精神が必要だ。
取材・文=萩原孝弘