話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、日本球界最少の身長164センチ、埼玉西武ライオンズの高卒ルーキーとして活躍中の滝澤夏央選手にまつわるエピソードを紹介する。
強力「山賊打線」はどこへやら、打撃陣の不振に苦しむ西武にあって、いまいちばん元気なのが、この5月に育成選手から昇格、支配下登録されたばかりの滝澤夏央・19歳です。
昨秋の育成ドラフトで2位指名を受け、西武に入団した滝澤。今季はイースタン・リーグで23試合に出場し、打率は2割3分台ながらも、チームトップの5盗塁数をマークし、5月13日に支配下選手に。
登録されたその日に、ケガで戦線を離脱している源田壮亮に代わって「2番・遊撃」で即スタメン起用され、プロ初安打も記録。高卒新人野手のスタメンは、チームでは2014年の森友哉以来8年ぶり。また、育成出身の高卒新人が1軍デビュー戦でヒットを放ったのは史上初とあって話題を集めました。
その後も「2番・遊撃」で先発出場を続ける滝澤。もともと源田に大きな憧れを抱いて入団しただけに、代役としての責任の大きさをしっかり認識した上で奮闘しているのです。
西武入団が決まった直後のインタビューで、滝澤は源田への憧れと、将来への抱負を語っています。
もっとも、「バッティングよりは守備や走力の方が武器」と言いながら、5月22日の日本ハム戦ではプロ初の猛打賞もマーク。高卒新人の1試合3安打は、西武では23年ぶりのこと。今季、投高打低の傾向が顕著なパ・リーグにおいて、交流戦開始時点での打率.333は大健闘と言えます。
そんな滝澤に必ず付いて回るのが“球界最小”という言葉。身長164センチのいわゆる小兵選手ながら、躍動するプレーで「令和の牛若丸」の異名をとるようになりました。
本来、身体の小ささはプロ野球選手にとってマイナス要素ですが、それでも惚れ込んだ西武の担当スカウトが強力にプッシュした選手。その指名までの経緯について、担当スカウトはこう語っています。
この「球界最小」について、支配下登録された際の記者会見では「前ならえのときは、いちばん前でした?」というとんでもない質問も飛び出しました。西武・渡辺久信GMは「守備だけなら、1軍で守っても大丈夫」という評価とともに、メディアにこう釘を刺しました。
滝澤自身も、身長について悩んだこともあると告白しつつ、こんな前向きなコメントを残しています。
「右足舟状骨骨挫傷」と診断されている源田の復帰時期は、まだ未定。チームをまとめるキャプテンの復帰を心待ちにしつつも、代役に抜擢した19歳の若手がこれだけの大活躍を見せたことは、辻発彦監督にとっても嬉しい限りでしょう。
24日の交流戦初戦・中日戦でも、初回、1死から左翼線にヒットを放ってチャンスをつくり、呉念庭のタイムリーで先制のホームを踏みました。2回には、無死二塁のチャンスでしっかりバントを決め、追加点をアシスト。4回は相手のエラーで出塁すると、オグレディのタイムリーで一塁から長駆ホームイン。辻監督は試合後、滝澤をこう絶賛しています。
源田の穴を埋めるために、滝澤は今後どんなプレーを見せてくれるのか、そして源田復帰後、滝澤は憧れの先輩とどんな競争を繰り広げるのか? 楽しみしかありません。
強力「山賊打線」はどこへやら、打撃陣の不振に苦しむ西武にあって、いまいちばん元気なのが、この5月に育成選手から昇格、支配下登録されたばかりの滝澤夏央・19歳です。
昨秋の育成ドラフトで2位指名を受け、西武に入団した滝澤。今季はイースタン・リーグで23試合に出場し、打率は2割3分台ながらも、チームトップの5盗塁数をマークし、5月13日に支配下選手に。
登録されたその日に、ケガで戦線を離脱している源田壮亮に代わって「2番・遊撃」で即スタメン起用され、プロ初安打も記録。高卒新人野手のスタメンは、チームでは2014年の森友哉以来8年ぶり。また、育成出身の高卒新人が1軍デビュー戦でヒットを放ったのは史上初とあって話題を集めました。
その後も「2番・遊撃」で先発出場を続ける滝澤。もともと源田に大きな憧れを抱いて入団しただけに、代役としての責任の大きさをしっかり認識した上で奮闘しているのです。
西武入団が決まった直後のインタビューで、滝澤は源田への憧れと、将来への抱負を語っています。
『守備のトッププレイヤーの方ですし、色んなことを吸収させてもらいたいです。打球に対する入り方は簡単そうに見えて実は難しいので、源田さんの安定感も含めて、そういったところを間近で見てみたいです。自分はバッティングよりは守備や走力の方が武器だと思うので、そこもしっかり磨いてアピールポイントにしていきたい。全体的なレベルアップは必要ですが、守備と走塁で見せられる選手になりたいです』
~『Number Web』2021年12月12日配信記事 より
もっとも、「バッティングよりは守備や走力の方が武器」と言いながら、5月22日の日本ハム戦ではプロ初の猛打賞もマーク。高卒新人の1試合3安打は、西武では23年ぶりのこと。今季、投高打低の傾向が顕著なパ・リーグにおいて、交流戦開始時点での打率.333は大健闘と言えます。
そんな滝澤に必ず付いて回るのが“球界最小”という言葉。身長164センチのいわゆる小兵選手ながら、躍動するプレーで「令和の牛若丸」の異名をとるようになりました。
本来、身体の小ささはプロ野球選手にとってマイナス要素ですが、それでも惚れ込んだ西武の担当スカウトが強力にプッシュした選手。その指名までの経緯について、担当スカウトはこう語っています。
『滝澤選手のリストアップも通常とは異なった。「普段は、(視察に)1回見に行って、インパクトを受ける選手がいたら、僕の場合は(指名選手の候補として)あげます。ただ、彼の場合は、身体が小さい。プロで身体が小さい選手は少ないことから「本当にプロでできるのか?」毎回、見に行くたびに自分の目を疑いながら、前回見たときよりもハードルをあげて見に行きました」と指名までの経緯を話してくれた』
~2021年12月12日更新『埼玉西武ライオンズ』公式サイト(滝澤を担当した鈴木敬洋スカウトのコメント)
この「球界最小」について、支配下登録された際の記者会見では「前ならえのときは、いちばん前でした?」というとんでもない質問も飛び出しました。西武・渡辺久信GMは「守備だけなら、1軍で守っても大丈夫」という評価とともに、メディアにこう釘を刺しました。
『なんでみんな、背が低いのを言うの。やめようよ。身長じゃないって、プロ野球は』
~『朝日新聞デジタル』2022年5月13日配信記事 より
滝澤自身も、身長について悩んだこともあると告白しつつ、こんな前向きなコメントを残しています。
『自分の体でしかできないプレーもある。それはスピードであったり、守備力は誰にも負けないという気持ちでやっている。身長で何度も悩まされたことあったこともあったのですが、これからは身長が関係ないというところを見せられるように。この身長でもできるというところ、夢や希望を与えられる選手になれるように頑張りたい』
~『日刊スポーツ』2022年5月13日配信記事 より
「右足舟状骨骨挫傷」と診断されている源田の復帰時期は、まだ未定。チームをまとめるキャプテンの復帰を心待ちにしつつも、代役に抜擢した19歳の若手がこれだけの大活躍を見せたことは、辻発彦監督にとっても嬉しい限りでしょう。
24日の交流戦初戦・中日戦でも、初回、1死から左翼線にヒットを放ってチャンスをつくり、呉念庭のタイムリーで先制のホームを踏みました。2回には、無死二塁のチャンスでしっかりバントを決め、追加点をアシスト。4回は相手のエラーで出塁すると、オグレディのタイムリーで一塁から長駆ホームイン。辻監督は試合後、滝澤をこう絶賛しています。
『素晴らしい。細かくいえば、他の選手がいっていたらあんなプレーできないだろうなというプレーもするし、素晴らしいですよ。あいつの三塁線のヒットから点が入ったわけだから。バテないでほしい。いけるところまで』
~『日刊スポーツ』2022年5月25日配信記事 より
源田の穴を埋めるために、滝澤は今後どんなプレーを見せてくれるのか、そして源田復帰後、滝澤は憧れの先輩とどんな競争を繰り広げるのか? 楽しみしかありません。