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ロッテOB清水直行さん、佐々木朗希を“別次元”と絶賛。交流戦は「今まで通りで」とエール

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ロッテ・佐々木朗希 (C) Kyodo News

清水さんがみたここまでの佐々木朗希


 ロッテの佐々木朗希は、自身2度目となる「日本生命セ・パ交流戦」に挑む。

 昨季の交流戦はデビュー直後だったこともあり、5月27日の阪神戦で5回4失点でプロ初勝利を挙げるなど、2試合・11イニングを投げて、1勝0敗、10奪三振、防御率3.27だった。

 プロ3年目の今季は4月10日のオリックス戦でプロ野球史上16人目となる完全試合達成&NPBタイ記録となる1試合19奪三振を記録すると、続く17日の日本ハム戦でも8回を無安打に抑える投球を見せるなど、ここまで8試合・55イニングを投げて、5勝0敗87奪三振、防御率1.47と素晴らしい成績を残している。

 ここまでの佐々木の投球にロッテOBの清水直行さんも「安定感はでてきたなという感じがしますね」と評価する。

 具体的に“安定感”という部分について清水さんは「今年に関してはいいピッチングをしようというのを心がけている気がします。チームが勝つこと、試合を作ること、球数を少なくても長いイニングを投げよう、そういったところの意識がしっかりと芽生えていて、ここまで壊した試合もないし、そういう意味では安定感というのはすごく出てきたなと思います」と話す。

 「球数などを含めて、いろいろな意見がありますが、僕の見立てとしては、もちろんプロの世界に入っているので、学生扱いをしてはいないですが年齢的には大学3年生と同じ21歳の世代というなかで、体のことを考えると、しっかりとマリーンズとしては計画的にきているなと思いますね」と、球団の育成方針を含めてここまで順調にきていると見ているようだ。


少ない球数で三振を奪うのは簡単、それとも難しいこと?


 昨年の後半戦は中10日の登板間隔で登板し、6試合・37イニングを投げて、イニング数を上回る44奪三振、2勝0敗、防御率1.22と抜群の安定感を誇ったとはいえ、清水さんは開幕前に佐々木がここまで活躍すると予想していたのだろうかーー。

 「球数が増えて、四球が増えたらなかなか難しいかなというのは、多少は懸念していました。その一方で身長と腕の長さを使っていくなかで、ストライクゾーンで勝負できたら、ある程度投げられるかなとおもっていました」。

 「とにかく四球が少ない。三振の多いピッチャーは四球が多いイメージなんですけど、それに当てはまらないくらい四球が少ない。そういう意味では、球数少なく投げられているというところで、これまでの結果、試合を壊していないというところは高いレベルで安定してきているなと思います」。

 佐々木朗希が与えた四球の数は8個で、完全試合を達成した4月10日のオリックス戦では9回・105球を投げて19奪三振を奪うなど、少ない球数で三振を数多く奪い、かつ長いイニングを投げている。3球三振は87奪三振のうち15個ある。5月20日のソフトバンク戦では甲斐拓也にオール160キロ超えのストレートで3球三振に仕留めた。そもそも、少ない球数で三振を奪うことは簡単にできることなのだろうかーー。

 「なかなか難しいと思いますが、彼の場合は3球勝負なんですよ。圧倒的なポテンシャルがあるので、十分3球勝負ができているピッチャー。異次元なんですよ。3球で勝負できるピッチャーはなかなかいない。それができるのは、(ストライクゾーンの)枠にいってくれているというのと、フォークボールがショートバウンドすることはあるんですけど、ワンバウンドすることがほとんどない。これまで見てきたフォークボールで三振を取るピッチャーとまた別次元の投手です」。

 「フォークボールが140キロ後半になると(キャッチャー)ミットに届いちゃうんですよね。普通フォークボールはミットに届く高さだと空振りが取れず、ファウルになったり、拾われたりする。彼は特別の域にあって、これまでほとんどのピッチャーが投げたことのないボールを投げている。これが本当の特別なんですよ」。

 「これまで数多くのフォークボールで三振を奪う投手で多く目にしてきたシーンに、空振りを奪ってワンバウンドした投球を、捕手がブロッキングしたのち、打者にタッチや一塁へ送球するプレーですが、佐々木朗希のフォークボールの三振には、これらのシーンがあまり見られない。フォークボールで空振り三振を取るピッチャーが、これだけワンバウンドが少ないのはすごいことです」。


他球団も対策


 開幕から“異次元”の投球を見せている佐々木ではあるが、6日のソフトバンク戦、13日のオリックス戦では、ストレートを捉えられている場面や、バットを短く持ってセンターから反対方向に打たれるなど、相手球団も対策、対応し始めているようにも見える。

 清水さんも「各球団、完全に佐々木朗希投手対策をしていますね」と指摘する。「(バットを)短く持つというより、コンパクトに振る印象を受けますね。それが反対方向に繋がったり、コンパクトに二塁打、鋭い打球を打たれている」。

 「パ・リーグのバッターはコンパクトに打っていこうとしていますが、その延長戦上でいずれスタンドインするかもしれない。ただ、そういう意識をもったなかでバッターをこれだけ三振を取れているのはすごいことです」。


交流戦で圧巻投球はできる?


 では、交流戦でも佐々木朗希の圧倒的な投球は見ることができるのだろうかーー。

 「いきなり佐々木朗希投手から完璧に(相手打者が)対応するのは難しいと思います。また、これまで佐々木朗希投手がパ・リーグで投げたデータはいっていると思います。基本的にはストレートとフォークの2種類、たまにくるカーブ、スライダーみたいなカーブもありますけど、この3つで勝負している。そのあたりをセ・リーグが打線としてどういう風に対応してくるのか見ものではありますよね」。

 セパによる打者の対応の違いなどについても清水さんは「どうしても、昔言われていたのは、パ・リーグの方がどんどんストレートでくるパワーピッチャーが多かったんですけど、セ・リーグにもパワーピッチャーがいるので、一概にここが違うと言うのは言えないですね」と前置きをしたうえで、「点の取り方の方法は違いますよね。パ・リーグは7番にバントをさせて、8番、9番で打たせるということが可能。セ・リーグはDHがないので、DHがある、ないというところでの繋ぎ方という部分では、5番以降の点の取り方で変わってくる。セ・リーグもいいバッターがいますし、打ち方は変わってこないんですけど、各球団、どこで点をとっていくのかということは、DHがあるとないで違うと思います。その差だと思います」と明かした。

 佐々木はこれまでのローテーション通りにいけば、27日の阪神戦(ZOZOマリン)、6月3日の巨人戦(東京ドーム)、10日のDeNA戦(ZOZOマリン)での登板が予想される。

 東京ドームでの巨人戦は3月18日のオープン戦で投げており、そのときは5回に岡本和真に満塁本塁打を浴びるなど、5回途中5失点という投球だった。

 「これまでデーゲームで、(5月に入ってからは)ナイターで投げて、いろんな経験をしている。球場の広さというのはあると思いますが、オープン戦とペナントレースは全然違います。そこに対してはしっかり準備すると思います。これも経験なので、完全試合をしたので完璧を求めると思いますが、僕自身、完璧なことは求めていなくて、たくさん経験を積んで欲しいなと思います」。

 最後に清水さんは佐々木朗希に交流戦で、「よそ行きの投球はしなくていいなと思います。相手がどこであれ、今自分が取り組んでいること、今年でいえばキャンプ、オープン戦で彼が言っていた脱力をしながら、自分のいいバランスで投げる。そして、長いイニングをたくさん投げて、チームを勝たせる。彼の今年のテーマ、1年間ローテーションを10日間空いたりするときもありますけど、チームから課せられている課題をクリアすることが大事。本当にそれだけ。相手がセ・リーグに変わった交流戦、というよそ行きではなくて、今まで通り、淡々と彼らしく、彼のペースで投げて欲しいなと思います」とエールを送った。佐々木朗希の2度目の交流戦がまもなく始まる。

取材・文=岩下雄太

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