大量点を呼び込んだ“犠打失敗”
日本ハムが連夜の悪夢を払拭する劇的な一勝。
敵地でヤクルトを9-6で下し、今季の交流戦初白星を掴んだ。
3-5で迎えた9回表、相手のマウンドには今季未だ無失点の守護神スコット・マクガフ。3連敗の悪夢が近づく中、ムードを変えたのが先頭打者のひと振りだった。
5番・万波中正は初球のカットボールを迷いなくフルスイング。打球はあっという間に左中間スタンドに飛び込み、これが今季初めてマクガフが喫した失点となる。
ざわめきの中、つづくアリスメンディ・アルカンタラも1ボール・1ストライクからのカットボールを完璧に捉え、打った瞬間に確信。二者連続アーチで試合を振り出しに戻した。
5-5で迎えた10回には、代わった木澤尚文から先頭の清宮幸太郎が四球で出ると、松本剛のバスターエンドランは空振りも盗塁が成功。無死二塁から犠打失敗で追い込まれたが、松本の右打ちがきれいに決まって一二塁間突破の安打に。無死一・三塁とチャンスを拡大した。
ここで野村佑希の打席中にバッテリーエラーが出て勝ち越し点をもらうと、野村の良い当たりは相手の好守に阻まれたものの、前の打席で一発を放った万波がレフトへの二塁打で1点追加。
さらに代わったA.J.コールからアルカンタラがレフトスタンドへライナーで叩き込む2ラン。この回一気の4得点でリードを拡げ、裏は2夜連続でサヨナラ弾を浴びた北山亘基が1点を失いながら投げきって試合終了。日本ハムが9-6で勝ち、同一カード3連敗を阻止した。
26日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した田尾安志氏は、「10回表の攻撃」に言及。
「先頭が四球で出たところで、松本が送りバントをしようとして追い込まれてしまうんですよね。僕は強行で良いんじゃないかなと思っていた。首位打者ですからね」とし、無死二塁になって3番・4番。ましてやこの日も1本塁打含む3安打と当たりに当たっている松本には自由に打たせても良かったのではと語る。
「バントで一死三塁は4番が逆にプレッシャーを感じることも」と付け加えつつ、バントはファウルになって2ストライクに。追い込まれた松本は右方向の軽打に徹し、弾き返した打球は一二塁間を突破。この日4本目の安打でチャンスを拡大した。
田尾氏は「この一本が大量点につながりましたね。野球って本当に分からないなと」と振り返り、ミスでピンチと思いきや災い転じて福となったこのシーンを解説。松本については「よく打ちましたね。ボールがしっかり見えていますよ」と好調ぶりを称えた。
嫌な形で連敗を喫した日本ハムだったが、「サヨナラ負けの落ち込みみたいなものがなかった。ベンチのムードって大事ですよね。つらい感じが全くなかったことも勝ちにつながったかなと」と田尾氏。ショッキングな敗戦から切り替えて試合に臨んでいた日本ハムベンチについても言及。
番組MCを務めた高木豊氏も「日本ハムは徐々に形になってきた。期待感満載ですね」とコメント。悪夢を振り切って掴んだ一勝をキッカケに、快進撃へと突き進んでいくことができるだろうか。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2022』