復帰5戦で打率.462、1本塁打、2盗塁の大暴れ
2年ぶりとなるパ・リーグ制覇、そして日本一を目指すソフトバンクに頼もしい選手が帰ってきた。2020年の盗塁王、周東佑京だ。
2017年育成ドラフト2位で指名を受けプロ入り。1年目からウエスタン・リーグで盗塁王(27個)を獲得すると、2年目のシーズン開幕直前に支配下登録を勝ち取った。同年のオフに開催されたプレミア12で盗塁王(4個)に輝き、2020年には規定打席未満ながら50盗塁の大台に乗せて盗塁王を獲得。一気に頭角を表し、昨季はさらなる飛躍を期待されていた。
しかし、右手人差し指の骨折、さらには右肩の手術を受けたことで、昨季の出場試合数は70試合にとどまり、2020年の打率.270(307-83)、50盗塁から、打率.201(169-34)、21盗塁と成績も大きく下がってしまった。
それでも、4月末にファーム公式戦で実戦復帰し、5月25日の一軍登録からここまで5試合の出場で打率.462(13-7)、1本塁打、3打点、2盗塁と大暴れ。出場3試合目となった5月27日の広島戦からは、3試合連続で「8番・三塁」でスタメン出場。その3試合すべてで安打を放ち、それぞれ2得点とチームの3連勝の大きく貢献した。
起用の幅も広く、3試合とも試合途中からは中堅へとポジションを変えている。誰もが認める脚力だけでなく、複数ポジションを守れるユーティリティー性もベンチにとっては心強い限りだ。
課題だった三塁手の世代交代
ここまで周東が3試合でスタメン起用されている三塁は、ここ数年のチームにとって課題とされてきたポジションである。長きにわたりチームを引っ張ってきた松田宣浩はすでに39歳。これまでにも後継者を育成する動きはあったが、完全な世代交代はできないまま時は流れた。
今年も春季キャンプから、リチャード、井上朋也といった若い長距離砲候補たち、さらには遊撃がメインポジションの新外国人ガルビス、ルーキーの野村勇らも含めて競争が繰り広げられてきたが、なかなかレギュラー台頭とはいかない。
一般的に三塁というポジションは、強打の選手を配置することが多いものだ。ソフトバンクでも、松田や小久保裕紀といったスラッガーが務めてきたことは誰もが知るところだろう。他球団を見渡しても、中村剛也(西武)、村上宗隆(ヤクルト)、岡本和真(巨人)といった錚々たる顔ぶれが並ぶ。
ソフトバンクも同様に、長距離砲候補たちを競わせたものの、十分な結果を残すことができた選手はおらず、ここにきてパワーよりスピードが売りの周東を抜擢したのは面白い流れのように見える。
復帰から日も浅く、周東が三塁で先発起用されたのはわずか3試合だけだが、ここまでは大成功といっていい。もちろんこの3試合でレギュラー確定とまではいかないものの、その候補に名乗りを上げたことは間違いないだろう。
周東が合流してからチームは4勝1敗と勢いに乗り、パ・リーグ首位の楽天に0.5ゲーム差と迫った。このまま交流戦を突っ走り、一気にリーグ首位に立つためにも、周東の力は必要になる。
※数字は2022年5月30日時点