話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、6月3日、日本ハムとの交流戦で1試合3本塁打を放つなど最近絶好調、阪神タイガース・大山悠輔選手にまつわるエピソードを紹介する。
悪夢のような開幕9連敗から2ヵ月。交流戦で西武・日本ハムを相手に5連勝を飾り、6月5日の時点でついに、セ・リーグ5位のDeNAに1ゲーム差と迫った阪神。いよいよ最下位脱出が見えてきました。それどころか、交流戦優勝の可能性も。ここに来て、俄然上り調子のチームを牽引するのは、6月に入って打撃絶好調の主砲・大山悠輔です。
6月は、1日~5日の5試合で、何とホームラン5本を量産。この間、16打数9安打で打率は.563と驚異の5割超え! 交流戦に入ってからの成績も、打率.366は12球団全体で4位。6本塁打は堂々のトップです。
なかでもファンを驚かせたのは3日、日本ハム戦での1試合3本塁打でしょう。この試合、日本ハムのビッグボスこと新庄剛志監督が16年ぶりに阪神時代のホーム・甲子園へ凱旋ということで、平日にもかかわらずチケット完売の大入りに。
試合は、ビッグボス歓迎のムードに乗せられたのか、3回終了時点で日本ハムが6点リードと楽勝ムードでした。ところが、大山の3発(2回・4回・8回)によって流れが完全に変わり、3本目の12号ソロが出た時点で、ついに6-7と1点差に。阪神はこの回、さらに3点を奪って9-7と逆転! 主砲のバットが奇跡的な勝利を呼び寄せました。
この試合で大山が放った3ホーマーは、いずれもファーストスイング。「狙い球を絞って一振りで仕留める」というキャンプから徹底してきたテーマが結実した、とも言えます。試合後、大山はこんなコメントを残しました。
今季、大山はこの試合以外でも「狙い球を絞って打つこと」、そして「その球を1発で仕留めること」を意識していると、何度となく口にしています。
例えば、4月29日の巨人戦。この時点まで防御率0.90と好調だった巨人の鍬原拓也に対し、138キロの甘く入ったスライダーを狙い打ちして、左翼スタンド上段へ。これも「狙い球を絞って、しっかり自分のスイングができた」1発でした。
また、5月22日の巨人戦では、昨季13打数1安打と苦手にしていた巨人の左腕・高橋優貴から左翼席中段へ届くスリーランを放ちました。高橋といえば150キロを超える直球とスライダーのイメージが強いなか、このときはあえて高橋の得意球ではなく、チェンジアップに狙いを絞っていたという大山。その甘く浮いた初球のチェンジアップを1発で仕留めた豪快なアーチでした。
昨季、矢野監督は「狙い球を絞るべき」という助言を送っていました。
この助言を意識し、オフの自主トレやキャンプでも課題として取り組んできたという大山。開幕前、球団OBである広澤克実氏との対談では「反応で打つのか、配球で打つのか」という問いに対して、こう語っていました。
この大山の言葉にもある通り、狙い球を絞るために必要なのは「蓄積されたデータ」です。1試合3発を放った試合では、データ面で自身を支えてくれる裏方さんに対して、こんな感謝の言葉を贈りました。
この勢いを今後の戦いにつなげる上で、大山のさらなる課題といえば、「チャンスの場面で打つこと」です。昨季の得点圏打率は.205と低調。今季も交流戦では結果を残しつつも、5日現在、得点圏打率は.233。主軸としてはまだまだ物足りない数字です。3日の1試合3発も、すべて走者がいない場面でのソロアーチでした。
チャンスの場面でこそ狙い球を絞り、結果を残すことができるのか? それこそが阪神の最下位脱出、そして、5日現在でまだ8つある借金完全返済→Aクラス浮上へのカギと言えそうです。
悪夢のような開幕9連敗から2ヵ月。交流戦で西武・日本ハムを相手に5連勝を飾り、6月5日の時点でついに、セ・リーグ5位のDeNAに1ゲーム差と迫った阪神。いよいよ最下位脱出が見えてきました。それどころか、交流戦優勝の可能性も。ここに来て、俄然上り調子のチームを牽引するのは、6月に入って打撃絶好調の主砲・大山悠輔です。
6月は、1日~5日の5試合で、何とホームラン5本を量産。この間、16打数9安打で打率は.563と驚異の5割超え! 交流戦に入ってからの成績も、打率.366は12球団全体で4位。6本塁打は堂々のトップです。
なかでもファンを驚かせたのは3日、日本ハム戦での1試合3本塁打でしょう。この試合、日本ハムのビッグボスこと新庄剛志監督が16年ぶりに阪神時代のホーム・甲子園へ凱旋ということで、平日にもかかわらずチケット完売の大入りに。
試合は、ビッグボス歓迎のムードに乗せられたのか、3回終了時点で日本ハムが6点リードと楽勝ムードでした。ところが、大山の3発(2回・4回・8回)によって流れが完全に変わり、3本目の12号ソロが出た時点で、ついに6-7と1点差に。阪神はこの回、さらに3点を奪って9-7と逆転! 主砲のバットが奇跡的な勝利を呼び寄せました。
この試合で大山が放った3ホーマーは、いずれもファーストスイング。「狙い球を絞って一振りで仕留める」というキャンプから徹底してきたテーマが結実した、とも言えます。試合後、大山はこんなコメントを残しました。
『1球を仕留めるというところはずっと課題。でも、こういう大事な試合でできたのはよかった。しっかり続けられるようにやっていきたい』
~『日刊スポーツ』2022年6月3日配信記事 より
今季、大山はこの試合以外でも「狙い球を絞って打つこと」、そして「その球を1発で仕留めること」を意識していると、何度となく口にしています。
例えば、4月29日の巨人戦。この時点まで防御率0.90と好調だった巨人の鍬原拓也に対し、138キロの甘く入ったスライダーを狙い打ちして、左翼スタンド上段へ。これも「狙い球を絞って、しっかり自分のスイングができた」1発でした。
また、5月22日の巨人戦では、昨季13打数1安打と苦手にしていた巨人の左腕・高橋優貴から左翼席中段へ届くスリーランを放ちました。高橋といえば150キロを超える直球とスライダーのイメージが強いなか、このときはあえて高橋の得意球ではなく、チェンジアップに狙いを絞っていたという大山。その甘く浮いた初球のチェンジアップを1発で仕留めた豪快なアーチでした。
昨季、矢野監督は「狙い球を絞るべき」という助言を送っていました。
『今季の89三振のうち、空振り三振は62個だった。追い込まれてからの真っすぐの可能性を捨てきれず、低めボール球の変化球に空を切ることも多かった。「打席だと真っすぐに見えちゃう。(頭から)真っすぐを消す努力を、根拠を持ってね。データも含め自分で根拠を自分で高めて、ここはこういう球でくると勝負していかないと」と狙い球を絞るべきと話す』
~『日刊スポーツ』2021年11月13日配信記事 より
この助言を意識し、オフの自主トレやキャンプでも課題として取り組んできたという大山。開幕前、球団OBである広澤克実氏との対談では「反応で打つのか、配球で打つのか」という問いに対して、こう語っていました。
『今までは、ほとんど反応というか、時には読んで打つこともあったんですけど、どっちかというと反応で打つことの方が多くて。でも、それでは限界があるなとは感じていて、少しずつですけど、配球というか、5年間やってきて、自分のデータとかも出てきているので、そういう読みというのも頭に入れながらやっていますね』
~『スポニチアネックス』2022年3月2日配信記事 より(大山のコメント)
この大山の言葉にもある通り、狙い球を絞るために必要なのは「蓄積されたデータ」です。1試合3発を放った試合では、データ面で自身を支えてくれる裏方さんに対して、こんな感謝の言葉を贈りました。
『スコアラーさんやいろいろな方が情報やデータを準備してくれている。たくさんの手助けあっての結果で感謝を忘れずに。この勢いを明日につなげられるように頑張りたい!!』
~『デイリースポーツonline』2022年6月4日配信記事 より
この勢いを今後の戦いにつなげる上で、大山のさらなる課題といえば、「チャンスの場面で打つこと」です。昨季の得点圏打率は.205と低調。今季も交流戦では結果を残しつつも、5日現在、得点圏打率は.233。主軸としてはまだまだ物足りない数字です。3日の1試合3発も、すべて走者がいない場面でのソロアーチでした。
チャンスの場面でこそ狙い球を絞り、結果を残すことができるのか? それこそが阪神の最下位脱出、そして、5日現在でまだ8つある借金完全返済→Aクラス浮上へのカギと言えそうです。