オスナを獲得
1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝を目指すロッテが、今年もシーズン途中に動いた。球団は9日、ロベルト・オスナ投手の入団が決まったことを発表した。
オスナはメジャー通算314試合に登板して、14勝18敗155セーブ、防御率は2.74。アストロズでプレーしていた19年にはリーグトップの38セーブを挙げるなどメジャーでの実績も十分だ。
井口資仁監督は球団を通じて「実績十分の投手。150キロを超えるストレートに多彩な変化球を持っており、さらにコントロールもよく頼もしい存在。一日でも早くチームに合流して勝利に貢献してほしいと思います」と期待を寄せる。
昨季もシーズン途中にエンニー・ロメロ投手を獲得し、中日から加藤匠馬捕手、DeNAから国吉佑樹投手をトレードで補強。ロメロ、加藤、国吉ともに昨季後半はチームに欠かせない戦力として活躍した。
今季は現在首位と8ゲーム差の5位とはいえ、新外国人選手を補強するところにリーグ優勝に向けての本気度が伝わってくる。
開幕直後こそ不安定だった救援陣だが、現在は7回・東條大樹、8回・ゲレーロ、9回・益田直也の勝利の方程式が確立され、西野勇士、小野郁、八木彬、小沼健太らも安定した投球を見せる。手薄な三遊間を含めた野手を補強した方がいいのではないかと思うファンも多いかもしれないが、リリーフ陣の補強は長いシーズンに目を向ければ必要なポジションともいえる。もちろん、野手も補強できるのであれば、補強した方がいいが…。
近年のブルペンを振り返る
近年のロッテのブルペンを振り返れば、シーズン通して開幕からシーズン終了まで同じ形で“勝利の方程式”を終えたということがない。これはロッテに限らず、他球団にも言えることではないだろうか。
20年は7回・ハーマン、8回・ジャクソン、9回・益田直也の勝利の方程式で開幕を迎えたが、同年7月8日にジャクソンが退団し、7月29日に一軍昇格した唐川侑己が8月9日のオリックス戦から勝利の方程式を任され、同試合から7回・唐川、8回・ハーマン、9回・益田という勝ちパターンになった。
9月7日に巨人からトレードで澤村拓一を補強し、救援陣に厚みをもたらしたが、9月16日に開幕からロッテのブルペンを支えていたハーマンが『右手第2指伸筋腱損傷』で離脱。ハーマンが離脱後は7回・唐川、8回・澤村、9回・益田という“勝ちパターン”の投手継投となった。
20年はシーズン序盤、ハーマン、ジャクソン、益田の3人が勝ちパターンを担ったが、終わって見れば益田以外は開幕直後とは違う投手が勝ち試合を務めた。
昨季も7回・唐川、8回・ハーマン、9回・益田でスタートを切ったが、ハーマンが初登板から3試合連続で失点するなどピリっとせず。開幕から素晴らしい投球を見せていた唐川も6月17日に一軍登録抹消されるなど、前半戦は守護神・益田以外の勝ちパターンは、故障者や成績不振による離脱が相次ぎ流動的だった。
後半戦に入ってから6月14日に有吉優樹とのトレードでDeNAから加入した国吉が勝ち試合の7回を担当し、前半戦の終盤は勝ち試合の7回や8回を務めていた佐々木千隼が8回に固定。7回・国吉、8回・佐々木、9回・益田という形が確立された。
話を今季に戻すと、今現在勝ちパターンを務めている東條、ゲレーロがシーズン最後まで安定した投球を見せてくれればいいが、長いシーズンということを考えれば、この先何が起こるかわからない。昨季も唐川が交流戦明けに3カ月近く離脱したという例もある。オスナが日本にフィットするかは実際にプレーしてみなければわからないが、実績のある投手が1枚加わったというのは、この先の戦いを考えればプラス。
また、オスナの加入により、5つの外国人枠を巡る競争も熾烈になる。ロメロ、ゲレーロの状態がよく、一軍の外国人枠が投手3、野手2という構成もありえない話ではない。そうなると、打線に欠かせないレアード、マーティン、エチェバリアも調子が悪ければ、ファームで再調整ということも十分に考えられる。今いる外国人選手たちの競争力もあがっていく。
あとは、オスナが合流するまでにどれだけチームとして状態を上げることができるか。まずは借金を返済して、優勝争いができる位置にまで上がっていきたい。
文=岩下雄太