捕手として自信
「去年と違って先発での出場が多いので、体力的にもまだまだだなと感じるときはありますが、充実したシーズンを送れているんじゃないかなと思います」。
ロッテの佐藤都志也は今季63試合中62試合で出場し、昨季記録したシーズン自己最多出場数に並んだ。
“打てる捕手”としてプロ入りから期待されてきたが、昨季までの2年間は打撃面で存在感を示す一方で、守備面での課題が多かった。今季は昨季までの守備での不安定さが消え、捕手として大きな成長を見せている。
左腕のエンニー・ロメロが先発する試合は開幕から10試合全てでマスクを被り、小島和哉(4試合)、河村説人(4試合)、本前郁也(3試合)、佐藤奨真(3試合)、二木康太(2試合)が先発する試合でも捕手として出場している。
今週は9日の中日戦でロメロを8回無失点、10日のDeNA戦で小島を6回1失点で今季初勝利、12日のDeNA戦で佐藤奨真を6回2失点でプロ初勝利に導くなど好リードが光った。現在佐藤が先発マスクを被った試合は、チームは4連勝中だ。
「少しでも上達できるようにと思って、このオフは過ごしてきました。そういった意味では、配球、リード、基本的なスローイング、ブロッキングも去年の自分とは比べものにならないくらい自信になっています」。
具体的に自信につながった部分というのはどういったところなのだろうかーー。
「まずは練習でどれだけ自分でどう入っていくかがポイント。去年ファームにいるときからバッテリーコーチの金澤コーチと一緒にタイミングであったり、自分のなかで動きやすいポジションなのかというのを全部1回あらいざらいやりました」。
「オフシーズンの自主トレでは、益田さんとやらせてもらったんですけど、そこに田村さんとか一緒について、色々教わったことを実戦でやっていくというなかで、徐々に止めていけたり、刺していけたりというのが自信につながっていったと思います」。
盗塁阻止率は.367
佐藤が話したように、12日終了時点で盗塁阻止率は.367。6月5日の巨人戦から盗塁を4回連続で刺している。
「1個刺せるとよかったと思うところもあるんですけど、キャッチングというか捕る位置が前で捕らず、受け身にならず、ちょうど自分のなかで“ここで捕ったら”という部分で捕れている。それが一番リズムよく、テンポよく送球できているのが要因なのじゃないかなと思います」。
二塁に送球しやすい捕球場所を見つけたことが、送球の安定、盗塁阻止率のアップに繋がった。
捕手として自信を掴んだ裏には…
捕手として自信を掴んだ裏には、投手とのコミュニケーション、試合に挑むまでの準備の質が上がったことも関係している。
「自分の意見とピッチャーがどう思っているのか、試合後の照らし合わせを含めてやることで、これでよかったんだなと思うこともあります。今まではどれを投げさせようかなというところから、自分は『根拠があってこういうサインを出したんですけど』と、逆にピッチャーに聞くことができている。そこは自分でも成長できているところなのかなと思います」。
「前日とかだと映像はかなり見ますし、どうやって配球していこう、ピッチャーの特徴はどうかなと考えたりしています。今年に入ってからインコースを使ったりしていると思うんですけど、結局後半にやられることが多いので、どれだけ意識づけさせることが大事かなと思いながらも、ピッチャーとしてのコミュニケーションを含めてそこが勝敗を左右するところ。事前の準備はかなりやっていると思います」。
最後までマスクを被りたい
佐藤は捕手だけでなく、一塁も守れることができるため、チームが3点差以内で勝っている試合終盤には捕手から一塁へポジションを移すことが多い。
「最初から最後まで被るのが理想。もっと信頼されるようなキャッチャーになれば、1試合任せてもらえるかなと思っている。まずはできることを確実にやっていくこと、積み重ねがそういったところにいくんじゃないかなと思っています。最終的には1試合、全試合被りたい気持ちではいます」。
今は試合終盤の抑え捕手として加藤匠馬、柿沼友哉(現在一軍登録抹消中)が出場しているが、2-1で勝利した10日のDeNA戦のように、1試合通してマスクを被り勝利に貢献することができれば、捕手としての自信を今以上にもてるはずだ。
交流戦が終わったとはいえ、80試合残されている。ロメロ、小島、佐藤奨を勝利に導くなど、捕手として成長を見せる佐藤。信頼度を上げていき、シーズン最終盤には、最後まで捕手として出場したいところだ。そのためにも、捕手として出場する試合で勝ち続けることが大事になってくる。
取材・文=岩下雄太