2022.06.21 18:00 | ||||
オリックス・バファローズ | 4 | 終了 | 3 | 福岡ソフトバンクホークス |
京セラD大阪 |
中嶋監督「わけわからんことになってた」
オリックスの高卒3年目、紅林弘太郎内野手がこの5試合、打率.500(14-7)と当たりが戻って来た。
昨年は1年間一軍のベンチを経験し、リーグ優勝にも貢献。今年はキャンプでは好調だったものの、本来の大胆なスイングに陰りが見え始め、5月下旬に出場選手登録から抹消。最短の調整期間で一軍復帰し、21日のソフトバンク戦では同期入団の左腕・宮城大弥を援護する今季本拠地初アーチを左翼スタンドに放り込んだ。
2017年シーズンから9連敗中だった“天敵”石川柊太を打ち砕いた紅林は、「深く考えすぎず、狙い球を絞っていくようにしました」と本塁打を放った打席を振り返り、「僕らも苦手意識はあったと思う。そういうピッチャーを打って、勝ちをつけたのはよかったと思います」と頷いた。
依然として今季の打率は1割台だが、4試合連続安打で復調気配。「ちょっとずつ打席の中で余裕が出てきたというか、自信を持って打席に立てているので、今はいい結果になっている」と上向きつつある打撃の状態についても語った。
紅林について、中嶋聡監督は「ボールの見方とか、変なボールを振らなくなったのは良い状態なのかなと思いますね」と評価。「何を変えたのか、自分で血迷ったのか、わけわからんことになってたんでね。振らなくて、当てに行くという、最低なバッティングになっていた。やっと、思い切って振れるようになっていた」と、この所の打撃の変化について話していた。
「おふざけ」だけじゃない2人の関係
試合後には、投打のヒーローとして、紅林と宮城がお立ち台に上がり、同期入団の2人ならではの掛け合いがファンの笑いを誘った。
紅林は自身の決勝弾が宮城の6勝目を呼び込んだことについて問われると、「そこはあまり意識していません」と即答。それでも、その後の取材対応では「正直、今まで宮城が投げてる時に打てていなくて、援護できていなかった。今日は調子も上がってきたし、1点しか取れてなかったので、楽にさせてやりたいな…」と本音も口にしていた。
殊勲弾を放った紅林がチームメートに出迎えられるなか、宮城がハイタッチを“スカした”のも、「いつも通りっすね、あいつ」と2人の間では通常運転。昨季から一軍の舞台で支え合ってきた彼らなりの祝福方法だった。
ちょっとしたおふざけは日常茶飯事だが、「お互い調子悪くなったりしたら、(野球の話を)たまにはしますね。9割はふざけてるんすけど、たまに1割、真剣に野球の話をする」と紅林。
「今年ずっと調子悪かったんですけど、その時は『打てよ』みたいな、『そろそろ打てよ』みたいなことしか言われないですね。僕から聞いたら教えてくれるというか、ちゃんと話はしてくれます。考え方とか、悪くなった時、共通するとこは少しはあるので、考え方をたまに聞いたりしてます。どういう配球だったり、待ち方だったり、こういう球投げてくるよとか…たまにですけど、話したりはします」
これまで宮城の登板日は、紅林の車に2人が相乗りする形で京セラD大阪に通っていたが、「全然勝ててなくて…。流れを変えていこうって、きょう宮城の車で来たら良かった。もう宮城が投げる日は宮城の車で来たいと思います」と新たな験担ぎも生まれた。
宮城は開幕当初こそ状態が不安視されていたが、気づけばリーグトップと1差の6勝。当たりが出始めた紅林のさらなる覚醒にも期待したい。
取材・文=どら増田