話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回はバッティングでチームを盛り立て、大活躍を見せる巨人の新外国人、アダム・ウォーカー選手にまつわるエピソードを紹介する。
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ドレッドヘア+バンダナという目を引くスタイルでグラウンドを駆け回り、チームが苦しいときに本塁打を打って盛り上げてくれる巨人の新外国人、アダム・ウォーカー。
当初は控えでしたが、4月上旬からレフトのレギュラーに定着。5月に入ると日本の投手にも慣れてきたのか、持ち前の長打力を発揮して月間6本塁打を記録。5月31日〜6月2日のソフトバンク3連戦では3試合連続本塁打を記録し、6月も引き続き好調を維持しています。
21日のDeNA戦では、DeNA・大貫から14号ソロを放ち、これでセ・リーグ5球団から本塁打を記録。またこの1発は「東京ドーム10本目」で、巨人の外国人選手が来日1年目に本拠地で2ケタ本塁打を放ったのは、94年のコトー以来、実に28年ぶりのことでした。
翌22日のDeNA戦でも、4-4の同点で迎えた7回、ウォーカーは伊勢から2戦連発の15号ソロ。これが決勝点となり、チームの勝利に貢献しました。冒頭のコメントはヒーローインタビューでの発言で、真面目でひたむきな性格と、日本野球になじもうとする姿勢がよくわかります。
メジャーで主力を張った同僚のポランコと違って、米独立リーグの出身のウォーカーにメジャー経験はありません。年俸も推定3400万円と格安での入団でしたが、巨人にとっては“超お得な買い物”となりました。
DeNA3連戦が終わった23日の時点で、打率.299(リーグ6位)、打点は34(7位)、本塁打は15本(5位)。打率はチームトップ。本塁打・打点は、19本・51打点の岡本和真に次いでチーム2位。いまや“チーム第2の主砲”であり、年俸を考えると、とんでもなくコストパフォーマンスの高い助っ人と言えます。
ホームランを打ったとき、ベンチへ戻って両手を頭の上に掲げてハートマークを作るパフォーマンスも、丸の“○ポーズ”と並び、すっかりおなじみになりました。また、自慢のドレッドヘアをまとめるバンダナにも注目で、その数20種類以上。しかも練習と試合中で変えているようです。なかには“寿司柄”のものも。
こういうことも、チームを盛り上げ、ファンに喜んでもらおうとする姿勢の表れですし、またチームメイトとも自分から積極的に交流。驚いたのはこの記事です。
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自分のスキルアップのためだけでなく、若手ともっと交流したいから、わざわざ早出特打をする……こんな外国人が、かつて巨人にいたでしょうか? チームメイトに好かれないわけがありません。チーム一丸でのV奪回を目指す原監督にとっても、こんなにありがたい存在はないでしょう。
しかし、レフトのレギュラーとして起用された当初は、かなりの批判も出ました。そう、課題の“守備”です。俊足ですし、捕球と打球処理に関しては大丈夫ですが、問題は送球。時にはセカンドへの返球が、ワンバウンドならまだしも、ツーバウンドになるときもありました。プロでは前代未聞。
こうなると相手は、レフトに打球が飛んだら容赦なく走って来ます。通常なら本塁に突っ込ませない当たりでも、レフトがウォーカーなら、三塁コーチャーは“ゴー”。浅いフライでも犠飛になったり、投手にとっては「勘弁してよ」でしょう。
なんでこんなに送球がお粗末なのか不思議に思っていたところ、東スポWebに「関係者の証言」として、こんな記事が出ました。
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いままで外野守備を、しっかり教わったことがなかった!?……プロなのに、そんなことがあるのかと思いましたが、ウォーカーが在籍していたのは、コーチングスタッフが充実していない米独立リーグ。こういうケースもあるのでしょう。東スポWebはその後、指導役の亀井コーチも直撃しています。
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やはりウォーカーの外野守備は、本当に“素人”だったようです。しかし、亀井新コーチの懸命な指導と、本人のひたむきな努力もあって、徐々に守備力は向上。ちゃんと基本を教えてもらっていなかっただけで、もともと野球センスはあるのですから吸収も早いのです。
亀井コーチは、ブルペンのマウンドでウォーカーを投げさせたりもしました。送球の際はどこの筋肉を使うのか身体で覚えさせるためで、新任コーチも、ウォーカーのためにいろいろと工夫を凝らしています。
その成果は、実戦でも形になって表れてきています。19日の中日戦では、0-0の2回、2死一・二塁の場面で、京田が放ったレフト後方の当たりをフェンスに激突しながらキャッチ。もし抜けていたら先制されていたわけで、この守備はタイムリーを放ったに等しいプレーでした。
また23日のDeNA戦でも、佐野の飛球をジャンプして捕球。これもフェンスに激突しながらのファインプレーでした。キャッチしたあと、白い歯を見せたウォーカー。とはいえまだ学ぶべきことは多く、亀井コーチは現時点でのウォーカーの守備力について、率直にこう語っています。
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そういえば、守備のミスによく苦言を呈する原監督も、ウォーカーの守備を責めることはほとんどありません。メジャー昇格の夢が叶わず、30歳で日本に渡り「ここでやるしかないんだ!」と懸命にプレーする姿勢を買っているからです。その姿は、必ずやレギュラーを狙う若手たちのいい刺激となるはずだと。原監督がウォーカーを使う理由は、打力だけでなく、“野球に取り組むひたむきな姿勢”にあるような気がします。
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『なんとかチームの勝利につながってとってもうれしいです。毎試合勝利のために一生懸命やっていますので、明日も頑張ります。(日本語で)アシタモ、カチマス』
~『日刊スポーツ』2022年6月22日配信記事 より(22日の試合後、ウォーカーのコメント)
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ドレッドヘア+バンダナという目を引くスタイルでグラウンドを駆け回り、チームが苦しいときに本塁打を打って盛り上げてくれる巨人の新外国人、アダム・ウォーカー。
当初は控えでしたが、4月上旬からレフトのレギュラーに定着。5月に入ると日本の投手にも慣れてきたのか、持ち前の長打力を発揮して月間6本塁打を記録。5月31日〜6月2日のソフトバンク3連戦では3試合連続本塁打を記録し、6月も引き続き好調を維持しています。
21日のDeNA戦では、DeNA・大貫から14号ソロを放ち、これでセ・リーグ5球団から本塁打を記録。またこの1発は「東京ドーム10本目」で、巨人の外国人選手が来日1年目に本拠地で2ケタ本塁打を放ったのは、94年のコトー以来、実に28年ぶりのことでした。
翌22日のDeNA戦でも、4-4の同点で迎えた7回、ウォーカーは伊勢から2戦連発の15号ソロ。これが決勝点となり、チームの勝利に貢献しました。冒頭のコメントはヒーローインタビューでの発言で、真面目でひたむきな性格と、日本野球になじもうとする姿勢がよくわかります。
メジャーで主力を張った同僚のポランコと違って、米独立リーグの出身のウォーカーにメジャー経験はありません。年俸も推定3400万円と格安での入団でしたが、巨人にとっては“超お得な買い物”となりました。
DeNA3連戦が終わった23日の時点で、打率.299(リーグ6位)、打点は34(7位)、本塁打は15本(5位)。打率はチームトップ。本塁打・打点は、19本・51打点の岡本和真に次いでチーム2位。いまや“チーム第2の主砲”であり、年俸を考えると、とんでもなくコストパフォーマンスの高い助っ人と言えます。
ホームランを打ったとき、ベンチへ戻って両手を頭の上に掲げてハートマークを作るパフォーマンスも、丸の“○ポーズ”と並び、すっかりおなじみになりました。また、自慢のドレッドヘアをまとめるバンダナにも注目で、その数20種類以上。しかも練習と試合中で変えているようです。なかには“寿司柄”のものも。
こういうことも、チームを盛り上げ、ファンに喜んでもらおうとする姿勢の表れですし、またチームメイトとも自分から積極的に交流。驚いたのはこの記事です。
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『6月上旬から早出の特打を続けている。始めたいと申し出たのは本人だ。目的が実にウォーカーらしい。スイングの調整だけでなく、「全体練習で関われない若い選手たちと一緒に汗を流して、コミュニケーションを取りたい」。環境になじもうとする姿勢が、活躍の背景にある』
~『読売新聞オンライン』2022年6月23日配信記事 より
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自分のスキルアップのためだけでなく、若手ともっと交流したいから、わざわざ早出特打をする……こんな外国人が、かつて巨人にいたでしょうか? チームメイトに好かれないわけがありません。チーム一丸でのV奪回を目指す原監督にとっても、こんなにありがたい存在はないでしょう。
しかし、レフトのレギュラーとして起用された当初は、かなりの批判も出ました。そう、課題の“守備”です。俊足ですし、捕球と打球処理に関しては大丈夫ですが、問題は送球。時にはセカンドへの返球が、ワンバウンドならまだしも、ツーバウンドになるときもありました。プロでは前代未聞。
こうなると相手は、レフトに打球が飛んだら容赦なく走って来ます。通常なら本塁に突っ込ませない当たりでも、レフトがウォーカーなら、三塁コーチャーは“ゴー”。浅いフライでも犠飛になったり、投手にとっては「勘弁してよ」でしょう。
なんでこんなに送球がお粗末なのか不思議に思っていたところ、東スポWebに「関係者の証言」として、こんな記事が出ました。
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「連日、亀井コーチが付きっ切りでウォーカーを指導していますが、米独立リーグではコーチ陣もそろっておらず『今まで外野守備について、しっかりとコーチから教わったことがなかった』と目からウロコだったそうです。課題だった送球も日増しに上達しているし、むしろ伸びしろしかない」
~『東スポWeb』2022年5月10日配信記事 より
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いままで外野守備を、しっかり教わったことがなかった!?……プロなのに、そんなことがあるのかと思いましたが、ウォーカーが在籍していたのは、コーチングスタッフが充実していない米独立リーグ。こういうケースもあるのでしょう。東スポWebはその後、指導役の亀井コーチも直撃しています。
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『いやあ…僕も1年目でしょ? いきなりすげえとんでもない試練が来たなという感じでしたよ(笑い)。本当にこれを教えるのか!? と。これを直さないといけないのかと思うと、最初は相当不安でした』
『まず(ウォーカーの)練習のやり方を見て、すべて間違っている感じでしたね』
~『東スポWeb』2022年6月15日配信記事 より
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やはりウォーカーの外野守備は、本当に“素人”だったようです。しかし、亀井新コーチの懸命な指導と、本人のひたむきな努力もあって、徐々に守備力は向上。ちゃんと基本を教えてもらっていなかっただけで、もともと野球センスはあるのですから吸収も早いのです。
亀井コーチは、ブルペンのマウンドでウォーカーを投げさせたりもしました。送球の際はどこの筋肉を使うのか身体で覚えさせるためで、新任コーチも、ウォーカーのためにいろいろと工夫を凝らしています。
その成果は、実戦でも形になって表れてきています。19日の中日戦では、0-0の2回、2死一・二塁の場面で、京田が放ったレフト後方の当たりをフェンスに激突しながらキャッチ。もし抜けていたら先制されていたわけで、この守備はタイムリーを放ったに等しいプレーでした。
また23日のDeNA戦でも、佐野の飛球をジャンプして捕球。これもフェンスに激突しながらのファインプレーでした。キャッチしたあと、白い歯を見せたウォーカー。とはいえまだ学ぶべきことは多く、亀井コーチは現時点でのウォーカーの守備力について、率直にこう語っています。
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「実際のプロ野球選手の一軍の守備かと言ったら、まだまだじゃないですか。みんなね、彼に対して見る目が優しくなっているんですよ(笑い)。『良くなったな、良くなったな』って言ってくれるんですけど。ある程度の平均的な守備をやらなきゃいけないわけで。僕自身も学びながら」
~『東スポWeb』2022年6月15日配信記事 より
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そういえば、守備のミスによく苦言を呈する原監督も、ウォーカーの守備を責めることはほとんどありません。メジャー昇格の夢が叶わず、30歳で日本に渡り「ここでやるしかないんだ!」と懸命にプレーする姿勢を買っているからです。その姿は、必ずやレギュラーを狙う若手たちのいい刺激となるはずだと。原監督がウォーカーを使う理由は、打力だけでなく、“野球に取り組むひたむきな姿勢”にあるような気がします。