コロナで出遅れながら凄まじい成績
7月も半ばに差し掛かり、シーズン折り返しのオールスターが近づいてきたプロ野球界。
セ・リーグは王者・ヤクルトが史上最速でマジックを点灯させるなど、早くも独走状態に入っているが、その中で2位以下は混戦模様。2位の巨人から5位の阪神まではわずか2.5ゲーム差と、激しい争いが予想される。
開幕直後は絶不調だった阪神も、83試合を終えて38勝43敗2分の借金5。どん底を抜け出し、Aクラス入りも射程に捕らえるまでになった。
野手では近本光司の活躍が光る。球団タイ記録となる30試合連続安打をマークするなど、6月は月間打率.366で37安打の大暴れ。打線を牽引した。
そして投手では、エースの青柳晃洋の躍動が凄まじい。7月8日の試合では、絶好調・ヤクルト打線を相手に3安打完封。リーグトップの9勝目を挙げ、防御率は驚異の1.36となった。
今季は新型コロナウイルスの陽性判定を受けたこともあり、初登板は4月15日まで遅れた。にも関わらず、投球イニング99.1回はリーグ3位で、86奪三振もリーグ2位。
ここまで13試合の登板で12回もクオリティ・スタート(6回以上投げて自責点3以下)を達成するなど、その安定感は抜群だ。
さらに4完投と2完封はともにリーグトップ(完封はトップタイ)。まさに“非の打ち所がない”成績だ。
2003年を最後に「最優秀防御率」から遠ざかる阪神
昨季は13勝6敗、防御率2.48の好成績を残し、最多勝と最高勝率の投手二冠を達成した青柳。プロ6年目でキャリアハイの成績を残したが、今季はそれをも上回りそうな勢いだ。
防御率1位、勝ち星1位、奪三振2位、勝率1位……。四冠総なめも視野に入れているが、実は阪神の投手にとっての“鬼門”となりつつあるタイトルがある。それが「最優秀防御率」だ。
最後に「最優秀防御率」に輝いた阪神の投手は、2003年の井川慶でなんと19年前。以降は誰もこのタイトルを獲得することができていない。
2005年に参入した楽天も田中将大ら3人が獲得しており、打者有利な球場を本拠地としているDeNAも横浜時代に三浦大輔(2005年)が、ヤクルトも石川雅規(2008年)がこのタイトルを獲得している。
ということで、12球団で同タイトルからもっとも遠ざかっているのが阪神なのだ。
先発投手のタイトルということであれば、最多勝は昨年の青柳だけでなく、ランディ・メッセンジャーや下柳剛も獲得している。
最多奪三振も藤浪晋太郎にメッセンジャー、能見篤史に井川と2003年以降で見ても多くの受賞者を輩出した。
そんな中、「最優秀防御率」だけ出ていないというのは少し不思議な気もする。
開幕時の絶望的状況からのAクラス入りへ、青柳の力は今後も欠かせない。
チームを引っ張った先に、球団19年ぶりのタイトル獲得なるか。後半戦も虎の背番号50から目が離せない。
文=BASEBALL KING編集部