病気で苦しんだ平田良介が今季1号
7月16日、甲子園で行われた阪神-中日の一戦。
延長戦までもつれた試合にケリをつけたのが、中日・平田良介のひと振りだった。
1-1で迎えた11回表、三ツ俣大樹の犠飛で1点を勝ち越した中日。二死走者なしとなり、打席に平田が向かった。
ラウル・アルカンタラが投じた152キロの速球を打ち返すと、鋭い打球はあっという間にレフトスタンドへ。
今季1号に思わずガッツポーズが飛び出ると、ベンチも拍手と笑顔に包まれた。
大阪桐蔭高から2005年の高校生ドラフト1巡目で中日に入団し、今年で17年目になる平田。
2010年代は外野の一角としてレギュラーを張った選手であるが、昨季は「異型狭心症」を発症したことで、シーズン後半のほとんどをリハビリに費やしている。
復活を期した今季も開幕一軍入りを果たすも、新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けて5月10日に登録抹消。7月12日に再昇格を果たしたばかりだった。
依然として今季の打率は1割台とらしくない数字にはなっているが、あの一発を見て「まだやれる」と感じたファンも少なくないのではないか。
チームも最下位と苦しい戦いを強いられているが、後半戦に向けて起爆剤となるような活躍に期待がかかる。
渋い活躍を見せるベテランたち
平田は1988年3月生まれ(早生まれ)ということで、世代で言えば「1987年世代」(1987年4月2日~1988年4月1日生)にあたる。
同学年の日本人野手で、今なおNPBで現役を続けているのは平田を含めて10人だけ。規定打席に到達している選手は一人もいない。
そんな中、一軍の貴重な戦力として結果を残している選手もいる。その筆頭格が楽天・銀次だろう。
今季序盤は主に代打で起用され、代打打率.571(14-8)で8打点、出塁率.632という驚異的な成績をマーク。
6月以降はスタメンでの出番も増やし、今季はここまで56試合の出場で打率.333(153-51)、得点圏打率は.348と勝負強さも発揮している。
また、DeNA・大和もここまで64試合に出場。打率は.247(190-47)となっているが、得点圏打率は.321とここぞの場面での活躍が光る。
チームでは森敬斗がショートのポジションでアピールを見せるなど、新星の登場にも注目が集まっている中、攻守で渋く存在感を発揮する大和からも目が離せない。
ほかにも、オリックス・安達了一や楽天・炭谷銀仁朗といったところが他の選手と併用されながらも一軍で奮闘中。
ここ一番で頼れる存在として、チームを支えている。
不振に苦しむ選手も…
一方、なかには不振に苦しむ選手も。
昨季は代打の切り札としてヤクルトの日本一に大きく貢献した川端慎吾だが、今季は打率.146(48-7)と調子が上がらず。7月4日に登録を抹消された。
オリックスの優勝に貢献したT-岡田も、右ふくらはぎの肉離れで出遅れ、5月22日に一軍復帰。その日に本塁打を放つ活躍を見せたが、以降は打撃不振に苦しんで打率.169(59-10)。7月14日に登録を抹消されている。
一軍で出場数を伸ばしている選手でも、ロッテの角中勝也はここまで30試合の出場で打率.242(66-16)とやや物足りない数字に。
こちらも肉離れで出遅れていたこともあり、エンジンがかかってくるのを待ちたいところだ。
暑さが本格化してくるこれからの季節は、ただでさえ選手に疲れが出てどのチームもやりくりに苦労するところ。
最近では新型コロナウイルス感染症の陽性者も球界で増加しているだけに、こんな時こそ数々の修羅場をくぐってきたベテランの力が必要となることは間違いない。
繰り返しになるが、1987年世代の野手はたった10人…。そんな彼らの底力に期待したい。
文=BASEBALLKING編集部
「1987年世代」の現役野手
川端慎吾(ヤクルト)
荒木貴裕(ヤクルト)
平田良介(中日)
大 和 (DeNA)
松井雅人(オリックス)
安達了一(オリックス)
T-岡田(オリックス)
角中勝也(ロッテ)
炭谷銀仁朗(楽天)
銀 次 (楽天)
※1987年4月2日~1988年4月1日生
※2022年シーズンNPB所属