代打で即二塁打の鮮烈デビュー
7月24日、セ・パ両リーグでオールスター前最後の試合が終了。
開幕から9連敗を喫した阪神は前半戦を3連勝で締めくくり、「16」あった借金を完済した。
首位を走るヤクルトとの差は11ゲームと大きなものになっているが、広島と並ぶ2位タイでの折り返し。その原動力は、何と言ってもリーグトップのチーム防御率2.57を誇る投手陣にある。
前半戦だけで11勝を挙げたエース・青柳晃洋や2年目左腕・伊藤将司を中心とした先発ローテーションは安定感抜群。開幕直後は不安を露呈していた中継ぎ陣も浜地真澄と湯浅京己が台頭し、守護神には岩崎優が君臨。新たな勝ちパターンが確立した。
一方の野手陣は、総得点320(リーグ4位)にチーム打率は.239(同6位)、さらに59本塁打(同4位)とやや苦しんでいる印象。広い甲子園を本拠地としている部分はあるが、2位争いを抜け出してヤクルトを追いかけるためには、やはり打線の強化というのが大きなカギになる。
起爆剤として期待がかかるのが、途中加入の新外国人選手アデルリン・ロドリゲスだ。
2020年にはオリックスでプレーした経験がある右の大砲は、前半戦最後のカードとなったDeNA戦から一軍に合流。代打で迎えた加入後初打席で、挨拶代わりの適時二塁打を放つ鮮烈なデビューを飾っている。
さらに翌日の試合も、スタメン起用に応える2安打・1打点の好結果。定まってきた近本光司・佐藤輝明・大山悠輔のクリーンナップの後ろに控えてコンスタントに結果を残すようなら、打線の破壊力は確実に増してくる。
一歩目は上々、あとはこれを継続できるか。思い返してみると、近年の阪神が獲得したシーズン途中加入の外国人野手で、印象的な活躍を見せた選手はほぼいないのだ。
途中加入で途中帰国も…
2010年以降、阪神がシーズン途中に迎え入れた外国人選手は9目。内訳は野手が5名、投手が4名となっている。
その5名の野手を見ると、2018年のエフレン・ナバーロが66試合の出場で打率.276(203-56)をマークしたのが目立つくらい。そのナバーロも本塁打は3本に留まり、途中加入の助っ人に求められる“起爆剤”としての役割は果たすことができなかった。
その他では、ネルソン・ペレス(2015年)やジェイソン・ロジャース(2017年)、ヤンハービス・ソラーテ(2019年)といった名前が挙がるが、いずれも活躍できずにシーズンを終えている。
ソラーテに至ってはわずか20試合の出場に留まり、打率1割台と低迷してシーズン中の9月上旬にアメリカへ帰国。矢野燿大監督に「モチベーションが上がらない」と訴え、ベンチから外れたことでも話題となった。
しかし、途中加入でも外国人投手では活躍する例も多い。
2010年のジェイソン・スタンリッジは4月の緊急補強から11勝を挙げ、リリーフでもブレイン・ボイヤー(2013年)やコーディ・サターホワイト(2016年)がともに20試合以上に登板して防御率2点台をマーク。チームを救う活躍を見せている。
近年の状況からは推しづらい途中加入ではあるが、今年のロドリゲスには2年前にオリックスでプレーした経験がある。
NPBを知るアドバンテージをしっかり活かし、首位・ヤクルト追撃の使者となるか。ロドリゲスの大暴れに期待したい。
文=BASEBALLKING編集部