「一軍の打者は見逃してくれない」
オリックスが敵地でロッテに連勝。
連夜の点の取り合いを制し、これで2位・ソフトバンクと0.5ゲーム差に迫った。
30日の試合では、高卒5年目の22歳・東晃平がプロ初先発。7月28日に支配下登録されたばかりの右腕は、緊張を感じさせぬ投球で4回1失点の好投を見せる。
ところが、3-1とリードして迎えた5回。先頭・佐藤都志也の安打に続いて荻野貴司には二塁打を許し、続く髙部瑛斗には右中間突破の三塁打。二者が生還し、3-3の同点とされてしまう。
その後は二死までこぎつけるも、二死三塁からブランドン・レアードにレフトへの二塁打を浴び、これで3-4。試合をひっくり返され、5回を投げきれずにマウンドを降りた。
チームが逆転勝ちを収めたため黒星はつかなかったが、東としてはプロ初登板初勝利の権利が目前に迫っていただけに、悔しいマウンドとなったことだろう。
30日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した解説陣も、東の投球には一定の評価を与えながら、今後に向けた課題について言及した。
元投手の齊藤明雄氏は「ボールに力があって、スピンが効いていた。時折投げるスライダーも縦に落ちたり、カット気味に滑ったりするボールがあって、チェンジアップで緩急もつけられる」と分析しつつ、技術的なポイントとして「投球フォームがリラックスしている」点を強調。「ボールを放す瞬間だけ力を入れるような感じで、打者はスピードガン以上に速く感じたんじゃないかなと」と特徴を解説する。
これには笘篠賢治氏も「ゆったりとしたフォームで、バッターからすると思ったよりも差し込まれるなという感覚になると思う」と打者目線から同調。「個人的にはもっと腕は振れそうな感じがしたので、スピードもまだまだ出てくるのかなと」とポテンシャルを高く評価した。
一方で、気になった点については「勝利投手の権利がかかった5回ですよね」と齊藤氏。
特に先頭の佐藤都との対戦を取り上げ、「良いところに変化球を投げてストライクを取って、ストレートでファウル。かんたんに追い込んだんですが、3球目にストレートを投げて、それが甘く入ってしまっているんですよね」とし、その一球こそ改善点だと言う。
やはり勝ち星がチラつくイニングで、それも一軍での初勝利となれば余計に意識は出てしまうもの。早くアウトを重ねていきたいという思いが生じてしまうのも仕方がないことだろう。
しかし、齊藤氏は「捕手はボールを要求していたと思うんですが、やはり甘く入ってくると一軍の打者は見逃してくれない」と強調。
「ボール球をあと4つも投げられたわけですから、そこで丁寧に投げられるようにならないと」。育成から這い上がり、プロとしての第一歩を踏み出した若き右腕にアドバイスを送った。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2022』