2022.08.10 18:00 | ||||
千葉ロッテマリーンズ | 3 | 終了 | 4 | 福岡ソフトバンクホークス |
ZOZOマリン |
● ロッテ 3 - 4 ソフトバンク ○
<16回戦・ZOZOマリン>
ロッテは10日のソフトバンク戦に3-4で敗れ、今季102試合目で自力優勝が消滅した。また連勝を積み重ねれば、自力優勝が復活する可能性はあるが、2年連続2位に入り、今季はリーグ優勝への機運が高まったたなかで、自力優勝消滅という言葉をこの時期に聞くのは非常に辛いものがある。
10日の試合は先発・佐々木朗希が2回に3点を失い、3回に荻野貴司の適時二塁打で1点を返す。1-3の8回に八木彬が先頭の周東佑京に内野安打で出塁を許すと、犠打と暴投で三塁へ進められ、牧原大成に適時打。試合終盤ビハインドで登板するリリーフが先頭打者に出塁を許し、バッテリーミスで走者を進められ失点する、開幕から何度も見てきた光景だ。
打線も8回にこの回先頭の荻野貴司が左本で1点を還し、2-4の9回は二死満塁から髙部瑛斗の適時内野安打で1点を返すのが精一杯。6回以降毎回先頭打者が出塁するが、得点に結びついたのは8回と9回の2イニングのみ。8回の攻撃にいたっては先頭の荻野の本塁打による得点だった。
昨季はビハインドの展開でもリリーフ陣がなんとかゼロで踏ん張り、試合終盤に打線が逆転して勝利するという試合があったが、今季はリリーフ陣が失点し、打線も反撃に出るも追いつかないことが多く、投打が噛み合わない。結果的に8回の失点は余計だったし、打線もチャンスにあと一本が出ていればまた違った試合展開になっていたのかもしれない。
佐々木朗希が先発しても勝てず、チームは3連敗で借金は5。オールスター前、首位と2.5差だったゲーム差も10日終了時点で「7.0」ゲームまで広がった。本来であれば優勝を争うなかで種市篤暉が復帰し、さらにチームの勢いを加速させることが理想的ではあったが、右肘のトミー・ジョン手術から2年ぶりに一軍先発する投手にチームの連敗脱出を託さなければならないほど、チーム状態は厳しい。
これだけチーム状況が悪いと、“9回打ち切りだったから”、“他球団は外国人選手が活躍しなかったから”など、昨年までのルールで2年連続2位に入ったと言われることも多い。
そのたびに、ロッテは井口監督が就任してから投手陣に球数を投げさせ、犠打や右打ちで走者を進め、さらには1本の安打で“1つ先の塁”を狙った走塁などで得点し、投手陣がそのリードを守りきる野球を確立、さらに先発が序盤で失点してもビハインドで投げるリリーフ陣が踏ん張り試合終盤に打線が奮起し逆転勝ちして2年連続Aクラスとなったということを伝えてきた。この2年行ってきた野球が後半戦に入ってから全くできていない。もう一度、原点に立ち返って思い出して欲しい。
戦術的な部分だけでなく、補強や育成に関しても、チームとしてのビジョンを持って行ってきた。補強では19年に8回の失点がイニング別で最も多かったことを反省しオフに日本で実績のあったハーマン、ジャクソンを獲得(現在は両選手ともに退団)。シーズンに入ってからも20年は澤村拓一、昨季は加藤匠馬、国吉佑樹をシーズン途中にトレードで獲得し、CS進出の立役者となった。今季もメジャー通算155セーブのロベルト・オスナ、ヤクルトから左の坂本光士郎をトレードで獲得し、オスナが勝ち試合の8回の男、坂本も2日の楽天戦で勝ち試合の7回で投げた。かつては長距離砲を必要としているときに、俊足巧打の選手を獲得することもあったが、そういったこともなくなりチームが不足しているポジションをトレードや外国人選手の獲得で補っている。
若手選手への育成という点でも、まだ“結果”は出ているとはいえないが、野手は体づくりと並行しながら試合に出場し、安田尚憲、山口航輝は2年目までファームでみっちりと鍛え、3年目に一軍の舞台に上がるという流れを作り、現在は高卒2年目の西川僚祐、山本大斗といった将来の大砲候補がファームで腕を磨く。投手陣も基本的には1年目からいきなり一軍で起用するのではなくウエイトトレーニングやランニング、投げ込みなど体づくりを行うというのがここ数年の流れだ。球団として育成方針を振り返ったり、この先の若手選手を育成していくためのデータを蓄積し管理している。
常勝軍団になるため、チームとして目指すべき方向性を示し、取り組んできた。ただこれまでやってきたことを認めてもらうためには、“結果”で示さなければならない。プロ野球の世界に限らず、社会に出ればその過程を評価されることはほとんどない。結果が全てだ。今まで取り組んできたことを肯定されるためにも勝ち続けるしかない。選手たちには勝利への執念、意地というものをもっともっと見せて欲しい。
文=岩下雄太
<16回戦・ZOZOマリン>
ロッテは10日のソフトバンク戦に3-4で敗れ、今季102試合目で自力優勝が消滅した。また連勝を積み重ねれば、自力優勝が復活する可能性はあるが、2年連続2位に入り、今季はリーグ優勝への機運が高まったたなかで、自力優勝消滅という言葉をこの時期に聞くのは非常に辛いものがある。
10日の試合は先発・佐々木朗希が2回に3点を失い、3回に荻野貴司の適時二塁打で1点を返す。1-3の8回に八木彬が先頭の周東佑京に内野安打で出塁を許すと、犠打と暴投で三塁へ進められ、牧原大成に適時打。試合終盤ビハインドで登板するリリーフが先頭打者に出塁を許し、バッテリーミスで走者を進められ失点する、開幕から何度も見てきた光景だ。
打線も8回にこの回先頭の荻野貴司が左本で1点を還し、2-4の9回は二死満塁から髙部瑛斗の適時内野安打で1点を返すのが精一杯。6回以降毎回先頭打者が出塁するが、得点に結びついたのは8回と9回の2イニングのみ。8回の攻撃にいたっては先頭の荻野の本塁打による得点だった。
昨季はビハインドの展開でもリリーフ陣がなんとかゼロで踏ん張り、試合終盤に打線が逆転して勝利するという試合があったが、今季はリリーフ陣が失点し、打線も反撃に出るも追いつかないことが多く、投打が噛み合わない。結果的に8回の失点は余計だったし、打線もチャンスにあと一本が出ていればまた違った試合展開になっていたのかもしれない。
佐々木朗希が先発しても勝てず、チームは3連敗で借金は5。オールスター前、首位と2.5差だったゲーム差も10日終了時点で「7.0」ゲームまで広がった。本来であれば優勝を争うなかで種市篤暉が復帰し、さらにチームの勢いを加速させることが理想的ではあったが、右肘のトミー・ジョン手術から2年ぶりに一軍先発する投手にチームの連敗脱出を託さなければならないほど、チーム状態は厳しい。
これまで取り組んできたこと
これだけチーム状況が悪いと、“9回打ち切りだったから”、“他球団は外国人選手が活躍しなかったから”など、昨年までのルールで2年連続2位に入ったと言われることも多い。
そのたびに、ロッテは井口監督が就任してから投手陣に球数を投げさせ、犠打や右打ちで走者を進め、さらには1本の安打で“1つ先の塁”を狙った走塁などで得点し、投手陣がそのリードを守りきる野球を確立、さらに先発が序盤で失点してもビハインドで投げるリリーフ陣が踏ん張り試合終盤に打線が奮起し逆転勝ちして2年連続Aクラスとなったということを伝えてきた。この2年行ってきた野球が後半戦に入ってから全くできていない。もう一度、原点に立ち返って思い出して欲しい。
戦術的な部分だけでなく、補強や育成に関しても、チームとしてのビジョンを持って行ってきた。補強では19年に8回の失点がイニング別で最も多かったことを反省しオフに日本で実績のあったハーマン、ジャクソンを獲得(現在は両選手ともに退団)。シーズンに入ってからも20年は澤村拓一、昨季は加藤匠馬、国吉佑樹をシーズン途中にトレードで獲得し、CS進出の立役者となった。今季もメジャー通算155セーブのロベルト・オスナ、ヤクルトから左の坂本光士郎をトレードで獲得し、オスナが勝ち試合の8回の男、坂本も2日の楽天戦で勝ち試合の7回で投げた。かつては長距離砲を必要としているときに、俊足巧打の選手を獲得することもあったが、そういったこともなくなりチームが不足しているポジションをトレードや外国人選手の獲得で補っている。
若手選手への育成という点でも、まだ“結果”は出ているとはいえないが、野手は体づくりと並行しながら試合に出場し、安田尚憲、山口航輝は2年目までファームでみっちりと鍛え、3年目に一軍の舞台に上がるという流れを作り、現在は高卒2年目の西川僚祐、山本大斗といった将来の大砲候補がファームで腕を磨く。投手陣も基本的には1年目からいきなり一軍で起用するのではなくウエイトトレーニングやランニング、投げ込みなど体づくりを行うというのがここ数年の流れだ。球団として育成方針を振り返ったり、この先の若手選手を育成していくためのデータを蓄積し管理している。
常勝軍団になるため、チームとして目指すべき方向性を示し、取り組んできた。ただこれまでやってきたことを認めてもらうためには、“結果”で示さなければならない。プロ野球の世界に限らず、社会に出ればその過程を評価されることはほとんどない。結果が全てだ。今まで取り組んできたことを肯定されるためにも勝ち続けるしかない。選手たちには勝利への執念、意地というものをもっともっと見せて欲しい。
文=岩下雄太