レッドソックスの澤村拓一

◆ 事実上の戦力外に

 ア・リーグ東地区の最下位に沈むレッドソックスは現地時間29日(日本時間30日)、澤村拓一をメジャー出場の前提となる40人枠から外し、事実上の戦力外とした。

 今後は他球団への移籍か自由契約(FA)、マイナー降格の3つが選択肢となる。

 澤村はロッテに在籍していた2020年のオフに海外FA権を行使。2021年にレッドソックス入りし、今季が2年契約(3年目は球団との相互オプション)の2年目だった。

 オールドルーキーとして迎えた昨季は中継ぎに配置され、前半戦は防御率2.45と予想以上の活躍を見せた。オールスター以降は防御率4.41と苦しんだが、シーズン通算では55試合に登板。5勝1敗10ホールド、防御率3.06という成績を残している。

 2年目の今季も開幕からまずまずの投球を続けていたが、5月下旬にマイナーに降格。ところが、他の中継ぎ投手が負傷者リスト(IL)入りしたため、僅か2日でメジャーに復帰する“幸運”もあった。その後は自ら立て直しに成功。メジャーに再昇格した時点で3.60だった防御率は、オールスター直後に2.48まで良化させていた。

 しかし、7月下旬は登板した4試合中3試合で失点を喫するなど、成績は再び下り坂に。8月に入ってからは盛り返したが、中旬以降は打ち込まれる場面が増えた。

◆ 防御率には表れない形の失点が増加

 “戦力外”となった時点の澤村の防御率は3.73。昨季の3.06に比べると、同じ3点台でも印象はあまり良くない。

 ただ、それ以上にホールド数が昨季の「10」から「3」に減少していたことこそ、澤村のチーム内における立場の悪さを物語っている。

 そして、防御率とホールド数以上に大きく落ち込んでいた指標もあった。それが「IR%」だ。

 IRとは「Inherited Runners」の略で、リリーフ投手が登板した時点で塁上にいた走者のことを指す。

 「IR%」は登板時に背負っていた走者を生還させてしまった割合で、この数値が低ければ低いほど、“火消し”に成功したことになる。

 昨季の澤村は登板時に35人の走者を背負っていたが、うち生還させたのは6人だけ。つまり、IR%は17.1%だった。

 ところが、今季はこれが48.5%(33人中16人が生還)に悪化。IR%は高くても低くても自身の防御率には影響がないが、今季は(走者を出した)他の投手の防御率を悪化させていたというわけだ。

 自身の防御率には表れない形の失点が多かった今季の澤村。

 今後はウェーバーにかけられることになるが、獲得に動く球団は現れるのか。その答えは数日以内に出る。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

八木遊 の記事をもっと見る

【PR】「ABEMA」がMLBを生中継
日本人選手の活躍を無料で視聴できる!

ABEMA × MLB2025

新しい未来のテレビ「ABEMA」では、2025シーズンのMLB公式戦を無料生中継! 平日のドジャース戦全試合を含む、レギュラーシーズン485試合を生中継で楽しむことができます。また、試合の名場面を試合終了後から楽しむことができる「ハイライト映像」も無料で視聴可能。

プレミアム会員なら一部のプレミアム限定配信試合も見放題で楽しめるほか、試合後1週間いつでもフル映像を視聴可能。さらに、みんなで観戦を楽しめる「コメント機能」、試合途中でも最初から視聴できる「追っかけ再生」など機能も充実。

スマホ、PC、タブレット、TVなどマルチデバイスでどこでも観戦できる「ABEMA」でMLBを堪能しよう!

POINT

大谷翔平をはじめ日本人選手が活躍するMLBを無料で視聴可能! TV視聴も可能!

② プレミアム会員なら有料試合も見放題。コメント機能や追っかけ再生で楽しみ方も充実!

③ ABEMAプレミアムは広告なし見放題(月額1,080円)広告あり(月額580円)から選べる!

もっと読む