1番に完全復帰後は打率3割を超える活躍
昨季は最下位に沈んだDeNAが大躍進を遂げている。
夏場には本拠地・横浜スタジアムで球団新記録となる17連勝を達成。最大17.5ゲーム差をつけられていた首位・ヤクルトに一時は4ゲーム差まで迫った。
投手陣では、山﨑康晃を筆頭にエドウィン・エスコバー、伊勢大夢の勝ちパターンを中心とした中継ぎ陣の活躍が光った。
打線では、キャプテンの佐野恵太と2年目ながら主砲に君臨する牧秀悟が安定感抜群のはたらきでチームを牽引。その中で忘れてはならないのが、リードオフマンの桑原将志である。
今季の桑原は4月に新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けて離脱した影響もあり、序盤戦は打撃不振で苦しんでいた。5月末の時点で打率は.193(119-23)で、本塁打もゼロ。定位置のはずだった1番ではなく、6番や下位打線を任される試合もあった。
ようやくエンジンのかかってきた6月は、打率.333(72-24)で1本塁打と復調。本来の姿を取り戻すと、それまでは転々としていた打順も1番が中心となり、8月12日からは慣れ親しんだ1番に定着している。
その8月12日以降は打率.308(107-33)と打率3割をキープ。さらに9月に入ってからは10試合のうち9試合で安打を放つなど、打率.333(45-15)と絶好調だ。
8月24日の阪神戦では、0-0の7回に試合を決する満塁弾。また、9月8日の巨人戦では気迫あふれるヘッドスライディングで内野安打をゲット。一塁到達後にベルトが切れて交換するほどのハッスルプレー。まさに「ガッツマン」にふさわしい活躍でチームの躍進を牽引している。
フェンス激突の好捕など守備でも存在感
桑原の魅力は打撃面だけではない。中堅の守備でも広い守備範囲の広さを生かし、通常なら届かないような打球を何度も捕球してきた。さらには、ダイビングキャッチも厭わず、再三のピンチを防いでいる。
首位攻防戦となった9月11日のヤクルト戦では、村上宗隆の左中間を破ろうかという大きな飛球をフェンスに激突しながら好捕。ピンチを未然に防ぎ大きな拍手を浴びた。セ・リーグの外野手部門で2017年以来、自身5年ぶり2度目となるゴールデングラブ賞を受賞する可能性もある。
桑原がゴールデングラブ賞を初めて受賞した2017年は「1番・中堅」で全143試合に出場を果たし、3位からの下剋上で日本シリーズに進出した縁起の良いシーズンでもある。
その2017年以降、DeNAの外野陣でゴールデングラブ賞受賞者はひとりもおらず、チームとして日本シリーズ進出も一度もない。
9月11日の直接対決に敗れ、ヤクルトに優勝マジック11が点灯したことを考えると、DeNAのシーズンでの優勝は少し厳しいものがある。しかし、2019年以来3年ぶりとなるクライマックス・シリーズへの進出はほぼ確定と見ていい。
まずはCSのファーストステージを得意の本拠地・横浜スタジアムで戦うことのできる2位を手中に収め、そこから5年ぶりの日本シリーズ出場を目指したい。
そのためにも、定位置の1番に戻ってきた桑原が攻守で存在感を示すことは必要不可欠。シーズン最終盤でのさらなる活躍に期待したい。
文=BASEBALLKING編集部