● ヤクルト 7 － 9 巨人 ○
＜24回戦・神宮＞

　ヤクルトの村上宗隆が、13日の巨人戦（神宮）で54号、55号の2本のアーチを放ち、1964年に王貞治がマークしたシーズン55本塁打の日本選手最多記録に並んだ。

　4回の第2打席に巨人先発の菅野智之の初球を捉えると、打球は高々と舞い上がり、スワローズファンの陣取るライトスタンド上段へと消えた。これが1985年のランディ・バース（阪神）に並ぶ史上5位タイの54号ソロとなった。

　そして、4－9で迎えた9回二死一・二塁にクローザーの大勢から左中間スタンドへ55号3ラン。「感触はバッチリでした」と振り返ると、偉大な王の記録に肩を並べたことに「すごく光栄なことですし、本当に嬉しい」と、素直に喜びを表現した。

　9日の広島戦（神宮）では53号アーチを放って、野村克也と落合博満の記録を抜き去った。そしてたどり着いた日本選手2人目の大記録。

　村上は「両親に感謝して、支えてくれた周りの方に感謝したい」と述べると、王の記録を超えろと激励してくれた「野村克也さんにも報告したい」と話した。

　前日のDeNA戦（横浜）では、8回の最終打席でエドウィン・エスコバーから右太ももに死球を受け、その裏の守備には就かず交代した。相手チームからの厳しい攻めにも対応していかなければならない22歳は、試行錯誤しながら「自分と向き合えたことがすごく大きい」と、今季の本塁打量産につなげている。

　村上の大記録について、高津臣吾監督は「勝ってお祝いしてあげたいなと思いましたけど」としながら、「彼のバットでここまで引っ張ってきてくれたので、残り試合も期待しています。勝ちにつながる1本をまた打ってくれると思います」と、さらなる期待を寄せた。

　村上が大記録達成もチームは2連敗。DeNAが中日に勝利したためゲーム差は「5.5」に縮まり、優勝マジックは「11」のままだ。2日空けて16日からはバンテリンドームで中日戦を迎える。

　「56本目を打ちたいと思いますし、次へ次へとしっかりホームランを打てるように頑張りたいと思います」と決意すると、「シーズンを完走して、優勝できるように頑張りたい」と村上。歴史を塗り替えていく4番が、チームを頂点へと導く。


取材・文＝別府勉（べっぷ・つとむ）