プレッシャーも「良い方向に、力に変えられた」
オリックスのエース・山本由伸が17日のソフトバンク戦に先発登板。6連勝中と勢いに乗る首位チームを相手に9回・114球、被安打4・与四球1で7奪三振で無失点の好投を見せ、今季2度目の完封勝利を挙げた。
この勝利で今季の白星を14に伸ばし、防御率1.71と奪三振188もリーグ断トツ。勝率.737も規定到達者の中では群を抜いており、今年も投手タイトルを総なめにするのは間違いない。
しかし、エースが何よりも最優先に考えているのが、まだ手に入れたことがない「日本一」というチームのタイトルだ。
3ゲーム差で迎えた首位・ソフトバンクとの最後の3連戦は文字通りひとつも落とせない戦いとあって、「3連戦をしっかりと勝って追い越したい。カード頭はいつも大事になりますけど、今回は流れを左右すると思うのでしっかり投げたい」と、この日は特に闘志を燃やしていた。
9回二死から柳田悠岐に対し、この日最速の157キロを投げ込んで場内を沸かせたが、万が一延長に突入したとしても、最後まで投げきる覚悟を持ってマウンドに上がっていた。この日の投球が残る2試合の勝利につながった時、右腕は初めてこの14勝目の味を噛み締めるのだろう。
試合後、「きょうは最後まで同じ調子で行けたので、それはすごく良かった」と振り返った山本。
負けられないというプレッシャーについては「全然感じていなかったわけではない」と前置きしたうえで、「良い感じに、良い方向に力に変えられたので良い結果になったと思います」とコメント。
つづけて、「もちろん立ち上がりからマックスで行けるように調整はしているんですが、立ち上がりは不安定になったりもする。今日は尻上がりに最後まで投げられたので良かった」と、快投を自己分析した。
ヒーローインタビューでは「気合十分で臨んだ」と話しつつ、「いつも通り、いつも通りです。とにかく絶対に勝たないといけないと思っていたので、これで明日も良い勢いで全員で勝てたらいい」とし、意識はしつつも当たり前の仕事をしたまで、という力強さと心強さを感じた。
自身が追い求める“エース像”を目指して。「日本一」になるまで、山本由伸はこの姿勢を貫き続ける。
取材・文=どら増田