見せた執念のタクト
一人一殺に勝ちパターンの投手をつぎ込むなど、逆転優勝に向けた心意気を見せたDeNA・三浦大輔監督。
しかし、10連戦の真っただ中に当日移動も加わる過酷な状況下で、3位・巨人を相手に1-2の惜敗を喫した。
来日初の横浜スタジアムでの先発となったロバート・ガゼルマンは初回、中田翔に適時打を浴びていきなり先制点を許したものの、その後は球数を費やしながらも立ち直りを見せる。
すると4回裏、宮﨑敏郎にソロが飛び出し、1-1の同点。中盤で試合を振り出しに戻したが、直後の5回表に連打と犠打で一死二・三塁というピンチを迎え、代打・若林晃弘の二ゴロの間に失点。結果的には、この1点が決勝点となってしまった。
6回の一死満塁のピンチでは、左のグレゴリー・ポランコに対して左腕の田中健二朗をぶつけて三邪飛に打ち取ると、続く右のアダム・ウォーカーには今季途中加入の森原康平を投入。見事に空振り三振に仕留め、一人一殺リレーを披露する。
その後も入江大生から伊勢大夢、9回は山﨑康晃までつぎ込む執念のリレーでゼロを並べたが、打線が応えることができなかった。
指揮官「もうひと押し…」
試合後、三浦監督は「もう本当に、もうひと押しというところがね」と悔しさを押し殺すように第一声。
窮地をしのいだ“一人一殺”のリレーについては「健二朗もあの場面に合わせてもらって、しんどい場面で最高の仕事をしてくれました。森原も、移籍してきて試合数も少ないですが、しっかり腹を括って投げてくれた。ナイスピッチングでした」と賛辞のコメント。
また、勝利の方程式をつぎ込んだ場面についても、「もう1回、あと1イニングというところで、ビハインドでも行ってもらいました。負けられないですからね」と語り、「負けてしまいましたが、全員が負けられないのは分かっている。全員がその気持ちで準備をしてくれている」と総力戦を強調した。
ヤクルトの優勝マジックは「4」。優勝の灯火は小さくなってきたが、「可能性がゼロじゃない限り、そこを目指して全員でやっていきます」と諦めない姿勢を貫く。
秋の風が吹き始めた横浜スタジアムだが、“反撃”を掲げた2022年、まだまだ熱い戦いを止めるわけにはいかない。
取材・文=萩原孝弘