「ヒットを打つためにバッティングをつくってきた」
ヤクルトの内川聖一選手(40)が、今季限りでNPB選手としての現役引退を決断した。28日、神宮球場で会見を行った。
会見で内川は「NPBという第一線では厳しいなと感じましたし、やっぱりヒットを打つためにバッティングをつくってきた。ここ最近の野球界のバッティングはホームランを打つためのバッティングをしながらヒットを打つということにだんだん変化してきているんじゃないかなと思いました。その変化に対応しきれなくなってきた」と、話した。
横浜(現DeNA)、ソフトバンク、ヤクルトとプレーし、通算2185安打を放ってきたヒットメーカー。横浜時代のプロ8年目に打率.378で、右打者最高打率を残して首位打者を獲得。当時のことを「こんなにバッティングで思い通りにいくことがあるのか」と振り返ると、ソフトバンクに移籍後は、セ・パ両リーグで史上2人目の首位打者も獲得。「今考えると、凄いことだったんだろうなと」としみじみと語った。
ヤクルトに移籍後はファームで過ごすことが多かった。「個人的にももう一踏ん張りと思ってやってきました。持っているものを発揮できずに終わってしまった」としながらも、ヤクルトには「思い切りやれる環境をつくってくれた。感謝しかありません」と話した。
ここまでの野球人生を振り返り「若い頃からこれ以上できないと思ってやってきた。練習に対しても、試合に対してもそうですけど。これ以上できないととことん思ってきたつもりが、今考えるともう一踏ん張りできたんじゃないか。もっと早くレギュラー獲れたんじゃないかというか、後悔が先にくる」と話すと、スワローズの若い選手たちには「若いうちにとことん頑張って、後悔がないようにやってほしい」と激励した。
会見後には、1歳年上の青木宣親から花束をもらった内川。「初めての首位打者を獲ったときも、ノリさん(青木)から獲ったみたいな信じられないような嬉しさの気持ちがあった」と話していただけに、感慨もひとしおの様子だった。
取材・文・写真=別府勉(べっぷ・つとむ)