ニュース 2022.10.03. 23:39

「苦しかったという思いもなくなった」…重圧を乗り越えて歴史を作った村上宗隆

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ヤクルト・村上宗隆 (C) Kyodo News

最終戦の第4打席で見せ場


 打った瞬間、重圧から解放されたように笑顔を爆発させた。

 ヤクルトの村上宗隆が3日、本拠地で行われたレギュラーシーズン最終戦で、日本選手最多となるシーズン56号の本塁打をライトスタンドへ運んだ。




 5点リードの7回裏、先頭で打席に入った村上。DeNAの5番手・入江大生の初球、151キロのストレートをとらえると、久々の“確信歩き”を見せてベースを一周した。

 歴史を塗り替える一発に、ベンチ前では高津臣吾監督と歓喜の抱擁。チームメイトに笑顔で迎えられると、スタンドから降り注ぐ鳴り止まない拍手に応えた。


「期待に応えられて良かった」


 歴史的偉業への挑戦。22歳の主砲は試合後「ホッとしましたし、やっと出たという長い1本だった」と語った。

 「いろいろなプレッシャーがたくさんありました」と振り返ったように、記録更新への重圧と戦い続けた最終盤。苦しい時期を乗り越えて、「自分の中では成長できたと思います」と言い切る。

 最後は「たくさんの方に背中を押してもらった。期待に応えられて良かった」と安堵を口にしつつ、「苦しかったという思いもなくなった」と充実感に満ち溢れた表情で締めた。


 2日の阪神戦ではスタメンを外れていたが、この日は「4番・三塁」で先発出場。4打数2安打をマークして、史上最年少での“三冠王”も確定した。

 2004年に松中信彦氏(ダイエー)が達成して以来、実に18年ぶりという偉業。特に本塁打と打点は他を圧倒する数字となった。


 高津監督は「練習から非常に状態が良くて、甲子園で1日休んですごくリフレッシュできたらしい」と状態面の上積みについてコメント。

 「最後の打席で56本目が出るなんて、漫画でもなかなか描けないこと。最後の1本を、見事な一発で仕留めてくれたというのは、今年のムネを象徴しているバッティングだったのかなと思いますね」とし、偉業を成し遂げた若き主砲を称えた。


試合中に涙を流すシーンも


 この日はレギュラーシーズン最終戦であると同時に、今季限りでの引退を表明している内川聖一と坂口智隆、嶋基宏にとっては現役最後の試合でもあった。

 0-2で迎えた3回の第2打席。一死一・二塁の場面でレフトへ適時打を放った村上は「今日引退される3人に勝ちを届けられるように、勝てるように頑張ります」とコメント。その言葉の通り、この一本が反撃の狼煙となる。

 つづく内川聖一が同点の適時二塁打を放ち、球場のボルテージが一気に高まった中、一死二・三塁で打席に入ったパトリック・キブレハンがレフトスタンドへ6号3ラン。この回一気の5得点で試合をひっくり返した。


 4回表がはじまる前には、内川が一塁、坂口が右翼の守備位置に就いてから、交代を告げられるという粋な演出も。

 ファンやチームメイトから大きな拍手を浴びてベンチへと退いた中、村上は涙をこらえることができなかった。

 それでも試合に出続け、最後は大きな仕事をやってのける。打率.318、56本塁打、134打点で令和初の三冠王に加え、“世界の王超え”も果たした。


 次に見据えるのは、チームの2年連続日本一。

 「日本一になるという目標をしっかりと持って頑張りたい」

 最高のレギュラーシーズンを終え、クライマックスシリーズとその先の日本シリーズでも暴れ回る。


取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)



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