守りだけでなくバットでも貢献
オリックスの劇的な逆転連覇で幕を閉じた今年のパ・リーグ。
シーズン最終戦にして優勝決定試合となった2日の楽天戦。重要な先発マスクを任された伏見寅威は、4打数2安打3打点と打つ方でも大活躍を見せた。
2点を先制された直後の5回表。無死満塁のチャンスで打席に入ると、田中将大の速球をライトへと運ぶ適時打。この一本を足掛かりに3点を奪い、オリックスは逆転に成功する。
さらに3-2で迎えた9回表には、一死二・三塁からライトへの2点適時二塁打。勝利を大きく手繰り寄せる一打を放ち、これがチームの連覇にもつながった。
5回の打席については「無死満塁で、点を取られた後の攻撃。早い段階で追いつきたいというのがあったので、大きなヒットだった」とコメント。
9回の貴重な追加点についても「キャッチャーの僕も楽になりますし、ピッチャーも気持ちが楽になる点。何としてでも取りたいという気持ちでした」と振り返る。
思わず大きなガッツポーズも飛び出したが、「あまりクールな方じゃないので、常に打ったらガッツポーズします」と笑いつつ、「あんまり打てていないので、そういうイメージないかもしれないですけど」と自嘲気味な笑みも見せた。
大逆転で掴んだ優勝、リーグ連覇に関しては「本当に信じられない」と感無量。
2日の試合も「監督にも『目の前の試合に集中』って言われていましたけど、なんかソワソワするし、ホークスの試合展開も気になってしまったり……」と裏側を明かし、「気にしないようにしていたんですが、裏でスコアラーさんがテレビで見ていて情報は逐一入って来たので、優勝が決まった瞬間は嬉しかった」と語った。
「まず勝ち切ること」
今年のチームでは宇田川優希や山﨑颯一郎、阿部翔太といった新たな力の台頭が目立った。
彼らには「前向きなことばかり声を掛けていると思います。『いいよ!いいよ!』って。若い力がチームの力になっている。そういう気持ちで常に投げてほしいので、何も言わないです」とし、ポジティブな言葉を投げかけることを心掛けていると明かす。
また、今年は山﨑福也や宮城大弥、田嶋大樹といった左腕の先発時を中心に76試合に出場。
若月健矢や頓宮裕真らとの“併用”という形になった中、「うちの投手陣は力のあるピッチャーが多い。僕の力なんて大したことないですが、まずは力を出し切ってほしいと常に思っているので、良さを引き出してあげるということを心掛けてやっている」と自らのスタンスについても語った。
迫ってきたポストシーズンに向けては、「まず勝ち切ること」と力強く宣言。
「隙を見せずにクライマックスシリーズを勝ち切って、昨年悔しい思いもしているので、またヤクルトに日本シリーズに上がってきてもらってリベンジしたい」と、昨年敗れた相手へのリベンジと日本一を見据えている。
ミラクル逆転優勝を経験し、またひと回り大きくなった背番号23。日本一を成し遂げ、再び中嶋聡監督を胴上げすることができるか。12日(水)から、新たな戦いがはじまる。
取材・文=どら増田