6歳下の大砲に「凄い」連発
劇的なリーグ連覇を成し遂げたオリックスの中心には、今年も頼もしい主砲・吉田正尚がいた。
個人としては2年連続での首位打者と最高出塁率の打撃二冠こそ逃したものの、キャリアハイに迫る出塁率.447はリーグダントツ。特に7月以降は打率.356、14本塁打、54打点、OPS1.088と好調を維持し、あらためて存在感の大きさを示した。
2年連続2度目の最高出塁率者賞に輝いた吉田正は「一番というところは目指していたところなので良かったです」とホッとした表情を見せていたが、全てにおいてトップを目指している男の口からは自然とあの選手の名前が溢れた。
「(自身の)後半のような活躍を1年間続けていたのが村上選手(ヤクルト)だと思いますし、そういうところを目指していきたい。村上選手は凄かったですよね。前半そんなにだったのに急に止まらなくなって、 5月から6月の交流戦のときですか。パ・リーグのピッチャー相手に力負けせずに。全然年齢も下ですけど、同じオリンピックでプレーして、凄さは知ってますので…凄いなと思います」
チームで勝ち取った結果に充実感
昨年はシーズン終盤に故障離脱した吉田正だったが、今年は前半戦に新型コロナウイルス感染、下半身のコンディション不良と立て続けにアクシデントに見舞われた。
「コロナにかかる少し前から自分の(調子の)バロメータが上がってくる感じがあったけど、そこでコロナにかかってしまって、併せて怪我もあって。本当にオールスター前は苦しかったですけど、何とか球団の方に配慮してもらいながら、最後の方に上がって来れたので、今思うと良かったなと思いますけど、当時は苦しかったです」
オリックスは吉田正がスタメンに完全復帰した6月17日以降の79試合で46勝31敗2分(勝率.597)と着実に白星を積み上げ、当時7.5あった首位とのゲーム差をひっくり返しリーグ連覇を達成した。今年もやはり頼れる主砲がチームを逆転優勝に牽引したと言っていいだろう。
吉田正は「常にいいスイングをしたいと思いながら打席に入ってますので、そういう意味でその日のベストを尽くす。シンプルですけど、それが続けられた。その前の準備からデータだったり、スコアラーさんも準備してくれてますし、そういうのを頭に入れて打席に迷わずに入れるように心がけています」と最善の準備を続けた日々を振り返った。
大逆転での連覇となったが、「やっぱりこれが優勝かそうじゃないかとなると違いますし、僕はその経験(V逸)が最初の方は続きましたので、やっぱりチームが上位に行って、自分が活躍出来ると嬉しさは倍というか、違いますね。終盤はずっと痺れるゲームだったので、楽しむというよりはワクワクという気持ちはありましたけど、またこうして勝てたというのが、次のステップに続けられると思いますし、昨年優勝して強くなったチームが今年も優勝したというのは大きかった」とチーム一丸で連覇したことに価値があることを強調した。
次なる目標はCSファイナルステージ、日本シリーズの先にある26年ぶりの頂点だ。選手会長を務める吉田正は「スタッフを含めてみんなで喜びを分かち合えるのはいいなと、素敵だなと思います」と昨年届かなかった栄冠を見据えている。
「何とかしてくれる」頼れる主砲は、ポストシーズンもチームの勝利のためにフルスイングを続けていく。
取材・文=どら増田