ソフトバンク・柳田悠岐 (C) Kyodo News

◆ 3ランとグランドスラムで西武を圧倒

 パ・リーグのクライマックスシリーズ・ファーストステージは、ソフトバンクが西武に連勝。2試合でファイナルステージ進出を決めた。

 まさに「短期決戦の勝ち方を知っている」というような勝負強さ。2011年からの10年間で7度の日本一に輝いた最強球団らしい貫禄すら感じさせる完勝であった。

 その象徴的存在と言えるのが、何と言っても柳田悠岐だろう。

 ファーストステージの2試合で放った安打は2本だったが、その2本が3ランと満塁弾。いずれも3回というゲームの序盤で大量点を叩き出し、試合の流れを引き寄せる貴重な一発だった。

 この勝利により、ソフトバンクは2019年のファーストステージから数えて驚異の「ポストシーズン18連勝」。その中で柳田は何度も印象的なはたらきを見せてきた。

◆ 柳田からはじまった「18連勝」

 ソフトバンクのポストシーズン連勝は、その柳田の活躍によりはじまったといってもいい。

 2019年に楽天と対戦したCSファーストステージでは、接戦となった第1戦を落として後がなくなったソフトバンク。

 第2戦も初回に先制を許す苦しいスタートとなったが、その裏の攻撃で柳田がソロ本塁打を放って即座に同点に追いついた。

 3回に浅村栄斗の2試合連続本塁打で勝ち越しを許すものの、その裏の攻撃では柳田の適時二塁打で再び同点に追いつくと、続くアルフレド・デスパイネの2ランで勝ち越しに成功。互いに点を取り合うシーソーゲームを制した。

 その勝利をもたらしたのは、突き放されるたびにすぐさま追いつく試合展開とした柳田のバットであった。

 圧巻だったのは、巨人と対戦した2020年の日本シリーズだ。

 第1戦こそ無安打に終わった柳田だったが、第2戦からの3試合ではいずれも2安打とマルチ安打をマーク。ヒットを量産し、チームの勝利に大きく貢献した。

 4年連続日本一に王手をかけて臨んだ同シリーズ第4戦では、先に触れた2019年のCSファーストステージにおける楽天戦と同じように、初回に先制を許す展開となる。

 しかし、その裏の攻撃で中村晃が二塁打を放ったチャンスの場面で打席に入った柳田が、ライトスタンドへの豪快な2ラン。すぐさま試合をひっくり返し、結果的にこの柳田の本塁打が4年連続日本一を決める決勝点となった。

 ソフトバンク、そして柳田のポストシーズンにおける勝負強さはまだまだ続くのか……。

 10月12日からはじまるオリックスとのCSファイナルステージでも、柳田のバットに要注目だ。

文=清家茂樹(せいけ・しげき)

【清家茂樹・プロフィール】
1975年、愛媛県生まれ。出版社勤務を経て2012年独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。野球好きが高じてニコニコ生放送『愛甲猛の激ヤバトーク 野良犬の穴』にも出演中。

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